HIT抗体陽性患者に対しアルガトロバンおよびメシル酸ナファモスタットを使用した1症例

「抄録」HIT抗体(血小板第4因子 - ヘパリン複合体抗体)陽性患者に対し, アルガトロバンとメシル酸ナファモスタット併用での人工心肺を用いた心臓手術を経験した. 胸骨切開後にアルガトロバン0.2mg/kgの静注および10μg/kg/minの持続投与を開始し, 人工心肺開始時からメシル酸ナファモスタット120mg/hrの持続投与を併用した. 活性化凝固時間(ACT)を400秒以上となるようにアルガトロバンを増量したが, 人工心肺および回収式自己血輸血システム回路内に血餅が生じた. また人工心肺終了30分前にアルガトロバン, 人工心肺終了時にメシル酸ナファモスタットの投与を終了したが, 人工心肺...

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Published inCardiovascular Anesthesia Vol. 27; no. 1; pp. 73 - 78
Main Authors 立花怜, 大石博史, 荒井理歩, 長岡治美, 長崎晶美, 古田美奈子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓血管麻酔学会 01.09.2023
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Summary:「抄録」HIT抗体(血小板第4因子 - ヘパリン複合体抗体)陽性患者に対し, アルガトロバンとメシル酸ナファモスタット併用での人工心肺を用いた心臓手術を経験した. 胸骨切開後にアルガトロバン0.2mg/kgの静注および10μg/kg/minの持続投与を開始し, 人工心肺開始時からメシル酸ナファモスタット120mg/hrの持続投与を併用した. 活性化凝固時間(ACT)を400秒以上となるようにアルガトロバンを増量したが, 人工心肺および回収式自己血輸血システム回路内に血餅が生じた. また人工心肺終了30分前にアルガトロバン, 人工心肺終了時にメシル酸ナファモスタットの投与を終了したが, 人工心肺離脱後より止血困難となり大量輸血を要した. ACT回復を認めたのは人工心肺離脱から6時間後であった. 人工心肺離脱後に止血困難とならないためにアルガトロバン及びメシル酸ナファモスタットを使用する際は, 異なる活性化剤による複数のACT測定器を使用することで人工心肺開始時期を適切に判断し薬剤調整することが重要である. ただし投与量や投与開始時期に関しては議論の余地があり, 今後の症例の蓄積が必要である.
ISSN:1342-9132