アザミウマ忌避剤 - プロヒドロジャスモンの実用化と忌避メカニズムの探究

「はじめに」 自然(生態系)を基盤とした解決策(NbS: Nature-based Solutions)に基づいた考え方が日本においても浸透してきているのではないだろうか. 2050年には地球人口が98億人に達すると言われており, 量的にも質的にも安定的な食料生産を実現することが何よりも重要な課題であることは疑いようもない. 食料の安定供給を考えた場合, 持続的な病害虫防除の実践が重要となるが, 病害抵抗性を付与した品種育成が長年盛んに行われてきたのに対し, 虫害抵抗性に関わる作物品種は乏しく, 害虫防除は殺虫剤に大きく依存している. このような中, 2021年に米国で開催された国連食料システ...

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Published in日本農薬学会誌 Vol. 49; no. 2; pp. 130 - 134
Main Authors 安部洋, 冨高保弘, 佐藤心郎, 佐藤諒一, 平井優美, 大矢武志, 松浦昌平, 瓦朋子, 梅村賢司, 腰山雅巳, 櫻井民人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農薬学会 20.08.2024
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Summary:「はじめに」 自然(生態系)を基盤とした解決策(NbS: Nature-based Solutions)に基づいた考え方が日本においても浸透してきているのではないだろうか. 2050年には地球人口が98億人に達すると言われており, 量的にも質的にも安定的な食料生産を実現することが何よりも重要な課題であることは疑いようもない. 食料の安定供給を考えた場合, 持続的な病害虫防除の実践が重要となるが, 病害抵抗性を付与した品種育成が長年盛んに行われてきたのに対し, 虫害抵抗性に関わる作物品種は乏しく, 害虫防除は殺虫剤に大きく依存している. このような中, 2021年に米国で開催された国連食料システムサミットでは, 持続可能な農業を実践するために環境に調和した農業の推進が1つのテーマとして掲げられた. 現在, 我が国で進められている「みどりの食料システム戦略」においても, 化学農薬や化学肥料の低減が大きな目標の1つとなっており, 我が国の目指す食料システムの姿として, 2050年までに化学農薬への過度な依存から脱却した総合的な病害虫管理体系の確立・普及等を図ることの重要性が示されている.
ISSN:2187-0365