時間の使用に対する心理会計理論の適用可能性に関する実証研究

「1. 序」 本研究の目的は, 心理会計理論の時間資源への適用について調査することである. 心理会計(Mental Accounting)はThaler(1985, 1999)によって提唱された, 金銭的な意思決定に関する理論である. それによると人々は金銭を心の中で様々な勘定項目に分類・ラベリングし, 不合理な意思決定をする. ミクロ経済学の理論によれば金銭は代替可能でありお金に色はついていない. しかし現実での人々はこの経済原則に反し, 自分の持っている金銭的な資源を全体として捉えるのではなく心理的に狭く区分し, 色付けをする. さらに人々はそれぞれの勘定項目の内部で予算を編成し, 損得・...

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Published in行動計量学 Vol. 51; no. 2; pp. 167 - 180
Main Authors 談佳純, 星野崇宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本行動計量学会 30.09.2024
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Summary:「1. 序」 本研究の目的は, 心理会計理論の時間資源への適用について調査することである. 心理会計(Mental Accounting)はThaler(1985, 1999)によって提唱された, 金銭的な意思決定に関する理論である. それによると人々は金銭を心の中で様々な勘定項目に分類・ラベリングし, 不合理な意思決定をする. ミクロ経済学の理論によれば金銭は代替可能でありお金に色はついていない. しかし現実での人々はこの経済原則に反し, 自分の持っている金銭的な資源を全体として捉えるのではなく心理的に狭く区分し, 色付けをする. さらに人々はそれぞれの勘定項目の内部で予算を編成し, 損得・収支の判断をする. このように心理会計は無意識的に同じ金額を違った性質のものとして扱うことを説明している. Thaler(1999)は, 心理会計の概念には様々な種類があり, その中でも特に重要な3つの種類があるとしている.
ISSN:0385-5481