大学キャンパスで飼育管理される地域ネコ (Felis silvestris catus) の生息地利用に関する調査事例
「要約」地域ネコの適正な飼育管理技術に資するため, 緑地空間を多く含む農業系大学キャンパス(約12ha)で屋外飼育される, 2匹の子ネコを含む10匹の地域ネコ個体群の生息地利用を個体ごとに比較した. 2020年6月1日~12月31日までの期間中, キャンパス内に設定してある給餌場への訪問の有無を毎日記録したとともに, 給餌場付近にキャリアボックスを積んで作成した雨風除けの避難小屋の利用を, 小屋前に設置した赤外線センサーカメラを用いて9~12月の期間中毎月10日間程度, 24時間連続で観察した. 9~10月の期間中には, 首輪に取り付けたGPSロガーを捕獲可能な個体に装着して1分間隔で位置デー...
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Published in | Animal Behaviour and Management Vol. 58; no. 4; pp. 204 - 211 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
動物の行動と管理学会
25.12.2022
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ISSN | 1880-2133 |
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Summary: | 「要約」地域ネコの適正な飼育管理技術に資するため, 緑地空間を多く含む農業系大学キャンパス(約12ha)で屋外飼育される, 2匹の子ネコを含む10匹の地域ネコ個体群の生息地利用を個体ごとに比較した. 2020年6月1日~12月31日までの期間中, キャンパス内に設定してある給餌場への訪問の有無を毎日記録したとともに, 給餌場付近にキャリアボックスを積んで作成した雨風除けの避難小屋の利用を, 小屋前に設置した赤外線センサーカメラを用いて9~12月の期間中毎月10日間程度, 24時間連続で観察した. 9~10月の期間中には, 首輪に取り付けたGPSロガーを捕獲可能な個体に装着して1分間隔で位置データを収集し, 24時間の行動圏を測定した. 避難小屋は2匹の子ネコにはほぼ毎日利用され, 成ネコにも雨天日(平均±SD:352.5±172.2分)にはそれ以外の日(110.8±66.3分)よりも長く利用された(P<0.05)ものの, 利用は特定の2匹に限られた. 給餌場への訪問では, 最長で1週間近く訪問しない成ネコが4匹存在したもののこれらは調査開始直後の1ヵ月間に限られ, 全期間を通して給餌場を訪問した日数割合は84~100%と, 避難小屋を利用しない個体であっても訪問頻度は高かった. 連続24時間の位置データが得られた5匹の行動圏の範囲とその大きさからは, 調査開始時に去勢した雄個体では24時間行動圏面積が12.4~16.3haと大きく, 給餌場以外にもキャンパス外にコアエリアを複数有していたが, それ以外の個体は雌雄ならびに避難小屋の利用の有無にかかわらず0.8~5.5haと, その行動圏はほぼキャンパス内に収まっていた. |
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ISSN: | 1880-2133 |