ゲノム情報に基づくBifidobacterium globosumおよびB. pseudolongumの新規迅速識別法の開発

「要約」Bifidobacterium globosumはプロバイオティクスとして食品への応用が期待されており, 製品開発および品質管理する上で近縁種であるB. pseudolongumと迅速に識別する手法が必要である. そこで著者らはB. globosum/pseudolongumの全ゲノム配列を用いて, 既存のB. globosum/pseudolongumの同定法を評価した. この結果, hsp60に対する制限酵素HaeIIIを用いたPCR-RFLP法, hsp60およびrpoBの塩基配列に対する配列解析では両者を正確に区別できず, clpCの塩基配列に対する配列解析を用いることで, B...

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Published in日本食品微生物学会雑誌 Vol. 40; no. 1; pp. 26 - 35
Main Authors 小川晴気七菜, 塚原拓也, 加田茂樹, 宮本真理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品微生物学会 31.03.2023
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ISSN1340-8267

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Summary:「要約」Bifidobacterium globosumはプロバイオティクスとして食品への応用が期待されており, 製品開発および品質管理する上で近縁種であるB. pseudolongumと迅速に識別する手法が必要である. そこで著者らはB. globosum/pseudolongumの全ゲノム配列を用いて, 既存のB. globosum/pseudolongumの同定法を評価した. この結果, hsp60に対する制限酵素HaeIIIを用いたPCR-RFLP法, hsp60およびrpoBの塩基配列に対する配列解析では両者を正確に区別できず, clpCの塩基配列に対する配列解析を用いることで, B. globosum/pseudolongumを正確に識別できることが示され, 類似度が97.9%以上では同種, 95.4%以下では異種と判断できた. そこで, 配列解析を実施することなく簡便で迅速にB. globosum/pseudolongumを識別できる新たな方法を探索し, clpCのPCR産物に対し制限酵素BspT104Iを用いてRFLPを実施する方法を開発した. そしてこの方法を用いて, B. globosum 12株, B. pseudolongum 1株を識別できることを確認した. 本手法は, これまでに提案されてきたB. globosum/pseudolongumの識別方法よりも迅速で正確な方法であることから, B. globosumの食品への利活用を促進する際に有用かつ効率的な手法であると考えられた.
ISSN:1340-8267