15. 脊髄損傷者における姿勢及び健常部の運動負荷の足部皮膚温に及ぼす影響

我々は脊損者の体位変換及び健常部の運動負荷による麻痺域の循環動態を知るため, 次のような研究を行なった. 1) 17名の外傷性胸腰損者に対して, 30分間の車椅子運転後ベッド上での安静をとらせて, 車椅子運転直後及び1時間安静後の足部皮膚温をthermographで測定した. 上位胸損及び下位腰損では, 安静後に足部皮膚温の上昇をみたが, T10~L1間に完全麻痺の上限を有する者の大部分に足部皮膚温の下降をみた. 2) 外傷性の11名の頸損, 4名の胸腰損及び1名の正常者に対して, 30分間のベッド上安静後座位をとらせ, 5分毎にthermographによる足部皮膚温の測定を行なった. いずれ...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 20; no. 5; p. 314
Main Authors 中島昭夫, 村瀬正男, 片山美保, 吉田一郎, 湯口真弓, 伊藤不二夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.09.1983
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:我々は脊損者の体位変換及び健常部の運動負荷による麻痺域の循環動態を知るため, 次のような研究を行なった. 1) 17名の外傷性胸腰損者に対して, 30分間の車椅子運転後ベッド上での安静をとらせて, 車椅子運転直後及び1時間安静後の足部皮膚温をthermographで測定した. 上位胸損及び下位腰損では, 安静後に足部皮膚温の上昇をみたが, T10~L1間に完全麻痺の上限を有する者の大部分に足部皮膚温の下降をみた. 2) 外傷性の11名の頸損, 4名の胸腰損及び1名の正常者に対して, 30分間のベッド上安静後座位をとらせ, 5分毎にthermographによる足部皮膚温の測定を行なった. いずれの場合も座位直後より足部皮膚温の下降をみたが, 頸損ではreboundがみられる例が多く, 中には30分後には臥位時よりも足部皮膚温が高くなる例もあった. 胸腰損及び正常者では比較的smoothな下降をみた. 3) 外傷性頸損6名, 胸腰損6名, 正常者3名に対して, 30分のベッド上安静, 30分間の車椅子座位安静後, 10分間の車椅子操作をさせ, さらにその後座位のまま安静にして, 足部温を深部温度計で連続測定した. 頸損では座位後のrebound現象及び車椅子操作時の足部温の上昇をみたが, 胸腰損では車椅子操作時に下降をみるものがあり, 正常者では全体としてsmoothな下降曲線を描いた.
ISSN:0034-351X