ベイズ自白剤の回答品質改善効果に関する実証的研究
「1. 問題と目的」 回答者の主観的な意見や立場を問う質問からなる調査は, 心理学を含む社会科学や世論調査, マーケティングリサーチなどあらゆる領域で実施されている. しかしながら, そのような調査によって得られるデータはその品質の点で懸念がある. 回答者が自らの真の意見や立場を回答に反映せず, 回答を不誠実に行う可能性があるためである. こうした不誠実な回答が行われる要因としては, 努力の最小限化(Satisfice: Simon, 1956)や, 犯罪や薬物の使用経験についてなど, 率直に答えにくい質問における社会的望ましさによるバイアスなどが指摘されており, 不誠実な回答行動に対処するた...
Saved in:
Published in | 行動計量学 Vol. 51; no. 2; pp. 69 - 80 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本行動計量学会
30.09.2024
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 「1. 問題と目的」 回答者の主観的な意見や立場を問う質問からなる調査は, 心理学を含む社会科学や世論調査, マーケティングリサーチなどあらゆる領域で実施されている. しかしながら, そのような調査によって得られるデータはその品質の点で懸念がある. 回答者が自らの真の意見や立場を回答に反映せず, 回答を不誠実に行う可能性があるためである. こうした不誠実な回答が行われる要因としては, 努力の最小限化(Satisfice: Simon, 1956)や, 犯罪や薬物の使用経験についてなど, 率直に答えにくい質問における社会的望ましさによるバイアスなどが指摘されており, 不誠実な回答行動に対処するためのさまざまな方策がこれまでに提案・検討されてきた. 例えば, 努力の最小限化による不誠実な回答を検出するための方法としてInstruction Manipulation Check (IMC; Oppenheimer, Meyvis, & Davidenko, 2009; 三浦・小林, 2018)やDirected Question Scale (DQS: Maniaci & Rogge, 2014;三浦・小林, 2018)などが知られている. |
---|---|
ISSN: | 0385-5481 |