日本語版Trait Schadenfreude Scale (J-TSS) 作成の試みと信頼性 妥当性の検討

本研究の目的は, 特性としてのシャーデンフロイデの感じやすさを測定するためのTrait Schadenfreude Scaleの日本語版(J-TSS)を作成し, その信頼性と妥当性を検討することであった. 研究1では, 原版を作成する際に用いられた54個の予備項目を邦訳したものを日本人の大学生に実施し, 301名の回答を分析した. その結果, J-TSSは良性シャーデンフロイデと悪性シャーデンフロイデの2種の因子を持つことが明らかとなり, おおむね充分な信頼性が示された. 研究2では, 2つのサンプル(183名, 184名)の大学生を対象に, J-TSSと他の尺度を用いた調査を実施した. その...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inパーソナリティ研究 Vol. 30; no. 2; pp. 70 - 79
Main Authors 加藤伸弥, 藤森和美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本パーソナリティ心理学会 01.11.2021
Online AccessGet full text
ISSN1348-8406

Cover

More Information
Summary:本研究の目的は, 特性としてのシャーデンフロイデの感じやすさを測定するためのTrait Schadenfreude Scaleの日本語版(J-TSS)を作成し, その信頼性と妥当性を検討することであった. 研究1では, 原版を作成する際に用いられた54個の予備項目を邦訳したものを日本人の大学生に実施し, 301名の回答を分析した. その結果, J-TSSは良性シャーデンフロイデと悪性シャーデンフロイデの2種の因子を持つことが明らかとなり, おおむね充分な信頼性が示された. 研究2では, 2つのサンプル(183名, 184名)の大学生を対象に, J-TSSと他の尺度を用いた調査を実施した. その結果, 先行研究とおおむね一致する結果が得られたが, 本邦において的確な項目表現を吟味した手続き上の影響により, 厳密な妥当性までをも立証することはできなかった. 以上により, J-TSSの将来的な可能性が論じられた.
ISSN:1348-8406