腸管複雑系における粘膜修復機構

常時60兆個におよぶ腸内細菌や食事性成分に晒されている腸管粘膜では, 炎症反応による上皮障害後のすみやかな粘膜修復が炎症性腸疾患における慢性炎症の増悪化を抑制するうえで必須である. そのため, 上皮細胞直下には複数種類の間葉系細胞が配置されており, 上皮細胞の維持や分化を支える役割を果たしている. さらに, 腸管には『第二の脳』ともよばれる神経ネットワークが神経叢を形成し, 近年では神経ネットワークによる上皮細胞のバリア機能への関与が注目されている. 本総説では, 腸管上皮修復に寄与する各構成細胞の役割を概説し, それらがどのように細胞間粘膜修復ネットワークを形成しているかを考察する....

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Published in炎症と免疫 Vol. 33; no. 4; pp. 273 - 279
Main Authors 田中和, 何金城, 鈴木雄大, 清水優, 倉島洋介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 先端医学社 01.07.2025
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ISSN0918-8371

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Summary:常時60兆個におよぶ腸内細菌や食事性成分に晒されている腸管粘膜では, 炎症反応による上皮障害後のすみやかな粘膜修復が炎症性腸疾患における慢性炎症の増悪化を抑制するうえで必須である. そのため, 上皮細胞直下には複数種類の間葉系細胞が配置されており, 上皮細胞の維持や分化を支える役割を果たしている. さらに, 腸管には『第二の脳』ともよばれる神経ネットワークが神経叢を形成し, 近年では神経ネットワークによる上皮細胞のバリア機能への関与が注目されている. 本総説では, 腸管上皮修復に寄与する各構成細胞の役割を概説し, それらがどのように細胞間粘膜修復ネットワークを形成しているかを考察する.
ISSN:0918-8371