哺乳行動と労働生産性からみたブタの非搾乳論
「要約」本研究では, 哺乳行動を観察し, 搾乳の難易性, 搾乳するための労働投入量, 搾乳によって得られた生産量を明らかにすることにより, ブタで搾乳が行われてこなかった要因について哺乳行動と労働生産性の視点から検討することを目的とした. ブタからの搾乳は, 母ブタ-子ブタの哺乳行動に合わせて実施しないと成功しなかった. 搾乳のタイミングや母ブタの泌乳の意志, 周辺環境が影響して, ブタからの搾乳は容易に中断することもあり, 困難を伴う作業であった. 搾乳間隔は平均56.6分であり, 搾乳成功率は61.3%に留まった. 搾乳量は平均11.5ml/7時間であり, 得られた乳量は極少量であった....
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Published in | Animal Behaviour and Management Vol. 59; no. 4; pp. 135 - 144 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
動物の行動と管理学会
25.12.2023
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ISSN | 1880-2133 |
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Summary: | 「要約」本研究では, 哺乳行動を観察し, 搾乳の難易性, 搾乳するための労働投入量, 搾乳によって得られた生産量を明らかにすることにより, ブタで搾乳が行われてこなかった要因について哺乳行動と労働生産性の視点から検討することを目的とした. ブタからの搾乳は, 母ブタ-子ブタの哺乳行動に合わせて実施しないと成功しなかった. 搾乳のタイミングや母ブタの泌乳の意志, 周辺環境が影響して, ブタからの搾乳は容易に中断することもあり, 困難を伴う作業であった. 搾乳間隔は平均56.6分であり, 搾乳成功率は61.3%に留まった. 搾乳量は平均11.5ml/7時間であり, 得られた乳量は極少量であった. ブタから搾乳すること自体が困難であり, 1日中を拘束される重労働であり, 得られる食料(乳)は極めて少なく, 食料生産体系に組み込む必然性が必ずしも必要でなかったことが, 哺乳行動と労働生産性からみたブタから搾乳されなかった要因の一つと考えられた. |
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ISSN: | 1880-2133 |