口腔アセスメントOral Health Assessment Tool (OHAT) と口腔ケアプロトコルによる口腔衛生状態の改善

「要旨」【目的】Oral Health Assessment Tool(OHAT)は, 要介護高齢者の口腔問題をスクリーニングするために開発された口腔アセスメントシートである. 今回われわれは, 口腔ケアプロトコルを用いた口腔ケアにより入院患者の口腔環境がどのように変化するか, OHATスコアと口腔細菌数を指標に評価した. また, 病棟看護師に対して, OHATとケアプロトコルの導入についてどのように感じたか評価するために, 意識調査を実施した. 【対象と方法】当院神経内科に入院している患者35名(平均73.7±13.1歳)を対象とした. 入院時に病棟看護師がOHATで口腔アセスメントを実施し...

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Published in日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 21; no. 3; pp. 145 - 155
Main Authors 稲垣鮎美, 松尾浩一郎, 池田真弓, 渥美雅子, 三鬼達人, 中川量晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 31.12.2017
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Summary:「要旨」【目的】Oral Health Assessment Tool(OHAT)は, 要介護高齢者の口腔問題をスクリーニングするために開発された口腔アセスメントシートである. 今回われわれは, 口腔ケアプロトコルを用いた口腔ケアにより入院患者の口腔環境がどのように変化するか, OHATスコアと口腔細菌数を指標に評価した. また, 病棟看護師に対して, OHATとケアプロトコルの導入についてどのように感じたか評価するために, 意識調査を実施した. 【対象と方法】当院神経内科に入院している患者35名(平均73.7±13.1歳)を対象とした. 入院時に病棟看護師がOHATで口腔アセスメントを実施し, OHATスコアにもとづき, 口腔ケアプランを設定し, 口腔ケアを実施した. 1週間ごとに再評価を行い, 口腔ケアプランを変更していった. OHAT初回評価時, 最終評価時に, 舌, 口蓋, 歯肉頬移行部(移行部)の細菌数を細菌カウンタ(パナソニックヘルスケア社製)にて測定した. 初回と最終評価時の細菌数の変化とOHATスコアの変化について, Wilcoxon検定を用いて比較した. 【結果】口腔細菌数は, 測定3部位において, 初回評価時に比して, 再評価時に減少傾向を示し, 歯肉頬移行部で有意に減少した. OHATスコアは, 合計スコアおよび, 口唇, 舌, 唾液, 清掃状態の項目において, 最終評価時に有意な低下を認めた. 歯科依頼があった対象者は12名(34%)であった. 看護師への意識調査では, 回答者全員がOHAT, 口腔ケアプロトコルともに有用であった, と回答していた. 【結論】OHATスコアと細菌数の変化から, 口腔ケアプロトコルを用いた口腔ケアによって, 口腔衛生状態が改善していたことが示された. 本結果より, OHATは, 口腔ケアによる口腔衛生状態の改善指標として使用できることが示唆された. また, 看護師への意識調査結果からは, 口腔アセスメントとプロトコルの重要性と有用性に関する一定の理解を得られることが示唆された.
ISSN:1343-8441