提言 : 産業保健サービスを小規模事業場 (従業員数50人未満) へ提供するために

「前文」日本の労働者の半数以上が働く従業員数50人未満の小規模事業場は, 経済的および人的に余裕がなく, 労働者の安全や健康を確保するための取り組みが十分とは言い難い. 一方で, 事業場の親模が小さいほど労働災害の発生率が高いなど, 安全衛生に関する多くの課題を抱えている. そのような小規模事業場に産業保健サービスを提供する制度を整えることは, 労働者の安全と健康の確保に大きく寄与すると考えられる. 近年, 働き方が急速に多様化し, 終身雇用制度が崩れつつある中, 未来を見据えた産業保健制度の変革が検討されるべきである. その際, 所属する企業の規模や雇用・就労形態にかかわらず, すべての労働...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 66; no. 6; pp. A117 - A125
Main Authors 日本産業衛生学会 政策法制度委員会, 五十嵐千代, 加藤元, 斉藤政彦, 柴田英治, 菅原保, 橋本晴男, 宮本俊明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.11.2024
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ISSN1341-0725

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Summary:「前文」日本の労働者の半数以上が働く従業員数50人未満の小規模事業場は, 経済的および人的に余裕がなく, 労働者の安全や健康を確保するための取り組みが十分とは言い難い. 一方で, 事業場の親模が小さいほど労働災害の発生率が高いなど, 安全衛生に関する多くの課題を抱えている. そのような小規模事業場に産業保健サービスを提供する制度を整えることは, 労働者の安全と健康の確保に大きく寄与すると考えられる. 近年, 働き方が急速に多様化し, 終身雇用制度が崩れつつある中, 未来を見据えた産業保健制度の変革が検討されるべきである. その際, 所属する企業の規模や雇用・就労形態にかかわらず, すべての労働者を対象とした仕組みの確立を前提とすべきである. それによって産業保健が, 就労年齢における大多数の日本国民を対象として業務に起因した事故や健康障害の防止に機能するだけでなく, 健康の保持増進を支援する役割を果たすことができる.
ISSN:1341-0725