11. アキレス腱皮下断裂に対する装具療法の検討

【目的】アキレス腱皮下断裂に対して短期間のギプス包帯固定と装具療法を行い, 治療後の経過を知るべく追跡調査を行った. 【方法】症例は47例, 受傷時年齢は21~72歳(平均41歳), 経過観察;期間は最長5年5ヵ月である. 受傷原因は30例がスポーツ競技中であり, 全例が受傷後5日以内に受診した. 治療方法は, ギプス包帯固定を平均2.5週, その後膝上装具, 膝下装具を計平均7. 3週間装着させた. 装具は軟性polypropylene樹脂製で下腿伸側のみに装着し足関節の背屈を制限し底屈は可能にした. 調査方法は受傷後6ヵ月以上経過した41例について直接検診し, ADLの6項目(走行, 歩行...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 26; no. 5; pp. 389 - 390
Main Authors 阪元政郎, 茂手木三男, 原田孝, 古府照男, 黄興明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.09.1989
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】アキレス腱皮下断裂に対して短期間のギプス包帯固定と装具療法を行い, 治療後の経過を知るべく追跡調査を行った. 【方法】症例は47例, 受傷時年齢は21~72歳(平均41歳), 経過観察;期間は最長5年5ヵ月である. 受傷原因は30例がスポーツ競技中であり, 全例が受傷後5日以内に受診した. 治療方法は, ギプス包帯固定を平均2.5週, その後膝上装具, 膝下装具を計平均7. 3週間装着させた. 装具は軟性polypropylene樹脂製で下腿伸側のみに装着し足関節の背屈を制限し底屈は可能にした. 調査方法は受傷後6ヵ月以上経過した41例について直接検診し, ADLの6項目(走行, 歩行など)の点数評価を行い, 足関節可動域, 下腿周径, アキレス腱幅を健側と比較し, 原職およびスポーツへの復帰状況などについて調査した. 【結果】調査時ADLが受傷前に復した症例は36例で, ギプス固定が2週以内および筋腱移行部断裂例では, 早期にADLが改善した. 他覚所見もほぼ受傷前に復し, Xerogram, FCR所見から4ヵ月で完全癒合が確認された. 原職復帰は22例が1ヵ月以内(平均6.1週間)で, スポーツ活動には平均7.8ヵ月で復帰した. 【結論】(1)我々の装具療法は入院を要せず, 早期の後療法開始と社会復帰が可能である. (2)方法は大腿~足ギプス1週間, 膝上肢装具を5週間装着(3週後からは夜間除去)としているが, 再断裂や拘縮残存例はない. 質問 自衛隊中央病院 藤本和幸:(1)いつから荷重を始めるのか. (2)新鮮例が対象だが, 受傷後, どれくらいまでが対象となり得るか, 答 阪元政郎:(1)荷重時期については, 受傷後2~3週は免荷にしている. (2)いつまでを新鮮例としているかについては, 受傷後5日以内を新鮮例としている. (3)早期にBraceを使えるかについては, 十分な説明と患者の理解が得られれば可能だと思われる. 答 茂手木三男:症例を選べば, ギプス固定なしで初めから装具療法が可能である.
ISSN:0034-351X