13.ヒト全唾液中のCollagenase

歯周組織が主要な蛋白質は, Collagenであり, 慢性歯周疾患でその50~70%が減少すると報告されている. このCollagenの分野では, 動物性Collagenaseが天然のCollagenに対する唯一の分解酵素であることも知られている. 私どもは, 歯周疾患の歯肉の体外培養液や, 歯肉溝浸出液および唾液中に本酵素活性の存在かつ, 炎症性歯周疾患では活性値の上昇を認めたので, 歯周疾患者より採取した安静無刺激唾液を使用して, 限外濾過, 硫安分画, Ultrogel AcA-44ゲル濾過, 5%Polyacrylamide-Collagenを用いたAffinity chromatog...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 25; no. 2; p. 433
Main Authors 岸正之, 大野友三, 渡辺洋, 北脇正基, 中静正, 飯嶌憲一, 早川太郎, 森下真行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯周病学会 28.06.1983
特定非営利活動法人日本歯周病学会
The Japanese Society of Periodontology
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ISSN0385-0110

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Summary:歯周組織が主要な蛋白質は, Collagenであり, 慢性歯周疾患でその50~70%が減少すると報告されている. このCollagenの分野では, 動物性Collagenaseが天然のCollagenに対する唯一の分解酵素であることも知られている. 私どもは, 歯周疾患の歯肉の体外培養液や, 歯肉溝浸出液および唾液中に本酵素活性の存在かつ, 炎症性歯周疾患では活性値の上昇を認めたので, 歯周疾患者より採取した安静無刺激唾液を使用して, 限外濾過, 硫安分画, Ultrogel AcA-44ゲル濾過, 5%Polyacrylamide-Collagenを用いたAffinity chromatographyにて, ヒト全唾液中のCollagenaseを精製して, その性質について調べた. その結果は次の通りである. (1)唾液濃縮において, TOYO UK-10を用いた限外濾過はRecovery60. 7%であったのに対し, 硫安分画20~80%はRecovery74. 6%と高値を示した. (2)4-APMAにて, 活性化されない潜在型Collagenaseが存在し, ゲル濾過において, その96%が活性化された. また, 活性型Collagenase潜在型Collagenaseともに同じ溶出域にピークを示し, ゲル濾過上分子量46, 000であった. (3)混合唾液時には, 約50%, 硫安分画後には, 約70%, ゲル濾過には, 約96%が活性型Collagenaseであった.
ISSN:0385-0110