特別講演:Neuromyelitis Optica(NMO):その新たな疾患概念と病理形態

『1. 視神経脊髄炎(NMO)とは』 視神経脊髄炎(Neuromyelitis Optica, NMO)は重症に視神経炎と横断性脊髄炎を特徴とする中枢神経の炎症性疾患である. フランスの内科医であるEugene Devic(1858-1930)が1894年に45歳女性で急性の両眼性視覚障害と対麻痺, 排尿障害を呈した症例を報告しており, デビック病という名称もNMOと同義である. この症例は約1カ月後に死亡し剖検が行われ, 視神経と脊髄に重篤な脱髄と壊死が見られたが, 脳には病変は見られなかった(Myelite subaigue compliquee de nevrite optique. B...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 59; no. 2; pp. 126 - 129
Main Authors 藤原一男, 池田修一, 中山淳, 増本純也, 黒川徹, 下島恭弘, 宮崎大吾, 大原愼司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 2011
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ISSN0037-3826

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Summary:『1. 視神経脊髄炎(NMO)とは』 視神経脊髄炎(Neuromyelitis Optica, NMO)は重症に視神経炎と横断性脊髄炎を特徴とする中枢神経の炎症性疾患である. フランスの内科医であるEugene Devic(1858-1930)が1894年に45歳女性で急性の両眼性視覚障害と対麻痺, 排尿障害を呈した症例を報告しており, デビック病という名称もNMOと同義である. この症例は約1カ月後に死亡し剖検が行われ, 視神経と脊髄に重篤な脱髄と壊死が見られたが, 脳には病変は見られなかった(Myelite subaigue compliquee de nevrite optique. Bull Med 8:1033-1034, 1894). なおこれより3年早く, 東京大学内科の青山胤通が34歳, 男性で両眼視力低下と急性横断性脊髄症を併発し4日目に呼吸不全で死亡した症例を報告しているが(急性脊髓炎ニ黒内障ヲ併發シタルモノヽ實驗. 東京醫學曾雜誌, 5:827-830, 1891), 青山の論文には同様特徴を持つ過去の主にドイツ語圏からの症例報告が引用されている.
ISSN:0037-3826