抗リステリア性ペプチド産生微生物-その性質と利用

「1. はじめに」 リステリア菌(Listeria monocytogenes)は自然界の広範囲に分布するため, 食品は本菌に汚染される機会が多い. リステリア菌を原因とする食中毒は, 加熱されずに摂食する生野菜, 鮮魚介類, 生乳, ナチュラルチーズなどの乳製品や生ハムなどの畜肉製品, および燻製品などのready-to-eat食品で事例の多いことはよく知られている5),20). これらready-to-eat食品では, 素材の持つ風味や食感を損なう調理・加工をできうる限り行わないため, 低温保蔵によって食品の品質や安全性を保持しなければならない. このような低温保蔵に依存した食品では, リ...

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Published in日本食品微生物学会雑誌 Vol. 23; no. 4; pp. 199 - 203
Main Author 山崎浩司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品微生物学会 31.12.2006
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Summary:「1. はじめに」 リステリア菌(Listeria monocytogenes)は自然界の広範囲に分布するため, 食品は本菌に汚染される機会が多い. リステリア菌を原因とする食中毒は, 加熱されずに摂食する生野菜, 鮮魚介類, 生乳, ナチュラルチーズなどの乳製品や生ハムなどの畜肉製品, および燻製品などのready-to-eat食品で事例の多いことはよく知られている5),20). これらready-to-eat食品では, 素材の持つ風味や食感を損なう調理・加工をできうる限り行わないため, 低温保蔵によって食品の品質や安全性を保持しなければならない. このような低温保蔵に依存した食品では, リステリア菌など低温増殖能を有する細菌の発育を完全に阻止することは難しい. そのため, 低温増殖性食中毒菌の制御を目的とした非加熱殺菌技術の開発・実用化が緊要である. 非加熱殺菌技術の1つである生物学的保存技術(バイオプリザベーション)は, 微生物(主に乳酸菌)またはその代謝産物を天然の食品保存料または食品素材として利用するものと定義される.
ISSN:1340-8267