高齢者における血管原性下肢切断の検討

最近の高齢者下肢切断は, 外傷, 腫瘍によるものは減少し, 閉塞性血管病変によって起こる虚血性壊死によるものが増加している. これは人口の高齢化と食生活の欧米化によって慢性に経過する閉塞性血管障害が増加しているためである. さらに虚血肢に対する治療が進歩し. 保存的治療として抗生剤による化学療法, 抗凝固療法のほかに, 最近は血管新生を促す遺伝子治療が試みられている. また, 患肢温存, 血行再建目的のために血管外科的治療として血管バイパス術などが行われる. したがって, 下肢虚血の急性期に治療の第一選択として切断術を選択する症例は減少している. また, 高齢者の血管原性切断に関して最近臨床で...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 40; no. 1; pp. 17 - 21
Main Authors 成田 寛志, 横串 算敏, 佐古 めぐみ, 光増 智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 2003
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ISSN0034-351X

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Summary:最近の高齢者下肢切断は, 外傷, 腫瘍によるものは減少し, 閉塞性血管病変によって起こる虚血性壊死によるものが増加している. これは人口の高齢化と食生活の欧米化によって慢性に経過する閉塞性血管障害が増加しているためである. さらに虚血肢に対する治療が進歩し. 保存的治療として抗生剤による化学療法, 抗凝固療法のほかに, 最近は血管新生を促す遺伝子治療が試みられている. また, 患肢温存, 血行再建目的のために血管外科的治療として血管バイパス術などが行われる. したがって, 下肢虚血の急性期に治療の第一選択として切断術を選択する症例は減少している. また, 高齢者の血管原性切断に関して最近臨床で受ける印象は, 初回の切断高位が足部や足趾などの遠位になっている反面, MRSA感染などで創治癒が得られず, 多数回の切断術を受ける症例が増加しているようである.
ISSN:0034-351X