癌と遺伝子多型-臨床検査への応用の可能性

生活習慣病の遺伝子検査として現在最も期待されているのは, 遺伝子多型による疾患感受性予測であろう. 我々はこれまでmatrix metalloproteinase(MMP)-1およびMMP-3遺伝子のプロモーター領域多型について数種の癌との関連を明らかにし1~3), 一部は本誌においても報告してきた4). MMP-1およびMMP-3遺伝子はchromosome 11q22.2に並んで位置し, 間質細胞, マクロファージ, 内皮細胞, 上皮細胞などの正常細胞と同様に様々な癌細胞で発現される間質性コラゲナーゼの一つである. 特にMMP-1は幾つかの癌でその発現が予後不良因子であることが明らかにされ...

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Published in生物物理化学 Vol. 48; no. 4; pp. 147 - 150
Main Author 日野田裕治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本電気泳動学会 2004
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ISSN0031-9082

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Summary:生活習慣病の遺伝子検査として現在最も期待されているのは, 遺伝子多型による疾患感受性予測であろう. 我々はこれまでmatrix metalloproteinase(MMP)-1およびMMP-3遺伝子のプロモーター領域多型について数種の癌との関連を明らかにし1~3), 一部は本誌においても報告してきた4). MMP-1およびMMP-3遺伝子はchromosome 11q22.2に並んで位置し, 間質細胞, マクロファージ, 内皮細胞, 上皮細胞などの正常細胞と同様に様々な癌細胞で発現される間質性コラゲナーゼの一つである. 特にMMP-1は幾つかの癌でその発現が予後不良因子であることが明らかにされ, 癌の感受性遺伝子候補として注目されている. しかし, これらのプロモーター多型が疾患感受性遺伝子そのものなのか, あるいは未知の疾患感受性遺伝子のマーカーにすぎないのかは未だ不明である. この点を明らかにするためには, 両遺伝子領域における他の多型について癌との関連を調べて行く必要がある.
ISSN:0031-9082