二分脊椎の姿勢調節に関する一考察

二分脊椎患者の立位姿勢における身体動揺を床反力作用点の軌跡として記録し, これを手掛りに彼らの姿勢調節能力に検討を加えた. 対象はL_3 ~L_5 麻痺レベルをもち, 屋外歩行が可能な二分脊椎患者(9~18歳)とした. 患児の前後方向の身体動揺は装具を装着した開眼の状態がおおむね健常者の閉眼時に相当し, 閉眼するとその2倍に増大した. 装具の有無は身体動揺と密接な関連を示したが, その影響は開眼, 閉眼時の違いほど大きくはなかった. 左右方向の身体動揺量は前後方向より幾分か少なかったが, 類似した特徴を示した. しかし, 装具の有無との関連は前後方向より低かった. はじめに 二分脊椎患者にとっ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 30; no. 8; pp. 563 - 566
Main Authors 三田勝己, 石田直章, 赤滝久美, 伊藤晋彦, 小野芳裕, 沖高司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.08.1993
Online AccessGet full text
ISSN0034-351X

Cover

More Information
Summary:二分脊椎患者の立位姿勢における身体動揺を床反力作用点の軌跡として記録し, これを手掛りに彼らの姿勢調節能力に検討を加えた. 対象はL_3 ~L_5 麻痺レベルをもち, 屋外歩行が可能な二分脊椎患者(9~18歳)とした. 患児の前後方向の身体動揺は装具を装着した開眼の状態がおおむね健常者の閉眼時に相当し, 閉眼するとその2倍に増大した. 装具の有無は身体動揺と密接な関連を示したが, その影響は開眼, 閉眼時の違いほど大きくはなかった. 左右方向の身体動揺量は前後方向より幾分か少なかったが, 類似した特徴を示した. しかし, 装具の有無との関連は前後方向より低かった. はじめに 二分脊椎患者にとって立位姿勢は下肢の骨萎縮を防ぎ, 血液循環や尿の流出を促し, 周囲の人と同じ眼高を保ち, 視野を広げるなど多くの意義をもつ1).
ISSN:0034-351X