PSA検診の有用性と過剰診断・過剰治療に対する対策 ~PSA検診にまつわる「そもそも」と「まっとう」を考える
「抄録」: 1980年代に臨床導入されたPSA採血検査は, その後, 簡便に前立腺がんの検診が出来るPSAスクリーニングとして瞬く間に全世界に広く普及するに至った. PSA検診のがん死亡率の減少効果は無作為化比較試験では現在最も妥当な研究と考えられているThe European Randomized Study of Screening for Prostate Cancer trial(ERSPC trial)にてスクリーニングにより前立腺がん死亡リスクが20%低下することは確認されている. また, 同研究のサブ解析により転移のリスクが40%減少することも示された. 検診の効率性についてはが...
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Published in | 西日本泌尿器科 Vol. 84; no. 4; pp. 315 - 321 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本泌尿器科学会
01.04.2022
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ISSN | 0029-0726 |
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Summary: | 「抄録」: 1980年代に臨床導入されたPSA採血検査は, その後, 簡便に前立腺がんの検診が出来るPSAスクリーニングとして瞬く間に全世界に広く普及するに至った. PSA検診のがん死亡率の減少効果は無作為化比較試験では現在最も妥当な研究と考えられているThe European Randomized Study of Screening for Prostate Cancer trial(ERSPC trial)にてスクリーニングにより前立腺がん死亡リスクが20%低下することは確認されている. また, 同研究のサブ解析により転移のリスクが40%減少することも示された. 検診の効率性についてはがん検診対象がんである胃がん, 大腸がん, 肺がん, 乳がんよりNNI(number of persons needed to invite:1人分のがん死亡イベントを減らすために必要な検診受診者数)が優れていることが確認され, Quality of Life(QOL)と検診効率性を組み合わせた指標であるQALY(Quality-adjusted life years:質的調整生存年), ICER(Incremental cost-effectiveness ratio:増分費用対効果)にて費用対効果が高いことも示されている. 検診の普及による「過剰診断・過剰治療」という問題に対しては, 我々泌尿器科医は監視療法を推進することで対応していくことが肝要である. |
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ISSN: | 0029-0726 |