男性不妊症における性機能障害について
「抄録」: 本邦では, 晩婚化や不妊治療の進歩に伴い, 男性不妊症における性機能障害の割合が増加している. これらは, 勃起障害(ED)・射精障害(EjD)・リビドー(性欲)低下に分類される. EDのうち, 男性不妊症において最も多いのは心因性EDである. 不妊症男性におけるEDの有病率は高く, 不妊治療(タイミング法)がストレスとなりEDを生じることもある. 2022年4月より不妊治療において使用される際に限り, シルデナフィルとタダラフィルが保険適用となり効果が期待されている. EjDのうち, 主に問題となるものは逆行性射精と無射精である. これらは, 脊髄損傷や糖尿病などが原因となり得る...
Saved in:
Published in | 西日本泌尿器科 Vol. 85; no. 5; pp. 324 - 329 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本泌尿器科学会
01.06.2023
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0029-0726 |
Cover
Summary: | 「抄録」: 本邦では, 晩婚化や不妊治療の進歩に伴い, 男性不妊症における性機能障害の割合が増加している. これらは, 勃起障害(ED)・射精障害(EjD)・リビドー(性欲)低下に分類される. EDのうち, 男性不妊症において最も多いのは心因性EDである. 不妊症男性におけるEDの有病率は高く, 不妊治療(タイミング法)がストレスとなりEDを生じることもある. 2022年4月より不妊治療において使用される際に限り, シルデナフィルとタダラフィルが保険適用となり効果が期待されている. EjDのうち, 主に問題となるものは逆行性射精と無射精である. これらは, 脊髄損傷や糖尿病などが原因となり得ることが知られているが, 精巣腫瘍に対する後腹膜リンパ節郭清後の合併症としても起こり得る. また, マスターベーションは可能であるにも関わらず性交渉において射精困難な膣内射精障害も存在する. 原因として不適切な自慰行為の習慣化が知られているが, TENGARを用いた射精リハビリテーション治療が近年注目されている. リビドー低下については, テストステロンが深く関係しているものの, テストステロン低下を伴わないことも多い. 本邦では, 若年男性の約半数がリビドー低下を実感していると報告されている. 性機能障害も男性不妊の原因となり得るが, それぞれの病態に応じた治療を行うことで, 生殖補助医療を受けなくても生児獲得に至る可能性がある. |
---|---|
ISSN: | 0029-0726 |