進行性・転移性尿路上皮癌の治療, 「抗PD-1抗体for second-line therapy」を考える

抄録:KEYNOTE-045試験の結果より, 抗programmed cell death 1(PD-1)抗体であるペンブロリズマブはプラチナ抵抗性の尿路上皮癌に対する二次治療の標準治療として国内外のガイドラインで推奨されるようになった. 一方, 昨年, JAVELIN Bladder100試験によって一次化学療法で疾患進行を認めなかった尿路上皮癌において, 抗PD ligand1(PD-L1)抗体であるアベルマブの維持療法が承認された. そこで, 「治療効果を認めている一次治療を中断しアベルマブ維持療法を全例に使用するのがまっとうなのか?」という問いを掲げ, アベルマブ維持療法登場後のペンブ...

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Published in西日本泌尿器科 Vol. 84; no. 5; pp. 441 - 444
Main Authors 吉野裕史, 榎田英樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.06.2022
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Summary:抄録:KEYNOTE-045試験の結果より, 抗programmed cell death 1(PD-1)抗体であるペンブロリズマブはプラチナ抵抗性の尿路上皮癌に対する二次治療の標準治療として国内外のガイドラインで推奨されるようになった. 一方, 昨年, JAVELIN Bladder100試験によって一次化学療法で疾患進行を認めなかった尿路上皮癌において, 抗PD ligand1(PD-L1)抗体であるアベルマブの維持療法が承認された. そこで, 「治療効果を認めている一次治療を中断しアベルマブ維持療法を全例に使用するのがまっとうなのか?」という問いを掲げ, アベルマブ維持療法登場後のペンブロリズマブ二次治療について考えた. はじめに行ったCDDP, GEM併用療法(GC療法)のサイクル数についての検討では, サイクル数を増やしても予後改善は得られず, 予後への影響は認めなかった. 次に行ったGC療法の治療効果別におけるアベルマブ維持療法の効果の相違に関する検討では, JAVELIN Bladder100試験の全生存期間の結果よりアベルマブ維持療法の有効性はStable Disease(SD)群・Partial Response(PR)群と比べてComplete Response(CR)群では少なくなっていた. しかし, この結果だけでは維持療法を行わない根拠にはならず, 更なる知見や腫瘍マーカーの確立が望まれた. 一方, ペンブロリズマブ二次治療は, 長期成績でもその有効性が示されたが, 免疫チェックポイント阻害剤(ICI)時代の到来の中, 治療選択の基準となる予後予測因子の確立が必要であると思われた.
ISSN:0029-0726