筋層非浸潤性膀胱癌の次世代型診療への期待

「抄録」: 筋層浸潤性癌, 転移性癌はもちろん, 筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)においても新規治療や新規尿マーカーの承認・開発が進んでいる. そのような中, まず期待したいのが, 膀胱がん検診法の充実化である. 膀胱癌はじめ尿路上皮癌に関しての検診は厚生労働省のがん検診の対象となっていないどころか, 科学的根拠のある高精度の検診手段すら確立していない. 10年以内には, 尿路上皮癌特異的かつ高発現する抗原が同定され, 検診発展の活路をみいだしてくれるものと熱望する. もう一点, NMIBCのフォローアップ方法の刷新にも期待したい. NMIBC治療後の頻回の膀胱鏡は, 患者目線からすれば重大な...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in西日本泌尿器科 Vol. 85; no. 5; pp. 294 - 300
Main Authors 三宅牧人, 藤本清秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.06.2023
Online AccessGet full text
ISSN0029-0726

Cover

Loading…
More Information
Summary:「抄録」: 筋層浸潤性癌, 転移性癌はもちろん, 筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)においても新規治療や新規尿マーカーの承認・開発が進んでいる. そのような中, まず期待したいのが, 膀胱がん検診法の充実化である. 膀胱癌はじめ尿路上皮癌に関しての検診は厚生労働省のがん検診の対象となっていないどころか, 科学的根拠のある高精度の検診手段すら確立していない. 10年以内には, 尿路上皮癌特異的かつ高発現する抗原が同定され, 検診発展の活路をみいだしてくれるものと熱望する. もう一点, NMIBCのフォローアップ方法の刷新にも期待したい. NMIBC治療後の頻回の膀胱鏡は, 患者目線からすれば重大なアンメットニーズだろう. 細胞形態, 抗原, DNA変異などを標的としたあまたの尿検査が開発されてきたが, いずれも膀胱鏡を代用できていない. 近年では 尿中mRNA発現パネルを利用したCxBladderやXpert Bladder Cancerといった尿検査が台頭し, 治療後検査に革新をもたらす日も近いかもしれない. バイオロジー, バイオインフォマティクス, 機械工学の急速な発展は, 今後も医学に次々と革新をもたらし, まさに不可能を可能にしてくれるに違いない. 本稿では, NMIBC診療において, 「早期発見・検診充実化」, 「治療後検査の至適化」この2点に着目し, 10年後のまだ見ぬNMIBC次世代型診療に思いを馳せる.
ISSN:0029-0726