宇宙で生活する

人が宇宙での生活を始めようとしている. 微小重力の世界である. この環境では人体の生理学的機能にも大きな影響があることは想像にたやすい. 我々の祖先は海の中の重力の少ない環境に適合した生き物であった. 宇宙の微小重力に長く生活すると, 環境に適合した解剖学的構造に回帰するのかもしれない. 肺循環と体循環の低圧系と高圧系に分ける必要がなくなり, いずれ心臓も1心室になる可能性もなくはない. そんなことを考えながらも, でも, 経済的に許され, かつ長期休暇がとれるものならば, ちょっと宇宙で生活してみたい気がする. 我々の体は, 重力により下半身に血液が滞留してしまう傾向にある....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in東邦医学会雑誌 Vol. 70; no. 1; p. 36
Main Author 常喜信彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 東邦大学医学会 01.03.2023
Online AccessGet full text
ISSN0040-8670

Cover

Loading…
More Information
Summary:人が宇宙での生活を始めようとしている. 微小重力の世界である. この環境では人体の生理学的機能にも大きな影響があることは想像にたやすい. 我々の祖先は海の中の重力の少ない環境に適合した生き物であった. 宇宙の微小重力に長く生活すると, 環境に適合した解剖学的構造に回帰するのかもしれない. 肺循環と体循環の低圧系と高圧系に分ける必要がなくなり, いずれ心臓も1心室になる可能性もなくはない. そんなことを考えながらも, でも, 経済的に許され, かつ長期休暇がとれるものならば, ちょっと宇宙で生活してみたい気がする. 我々の体は, 重力により下半身に血液が滞留してしまう傾向にある.
ISSN:0040-8670