6. 悪性リンパ腫長期入院患者への在宅へ向けた関わり

【はじめに】入院が長期化した患者に多職種が関わることで, 在宅療養へ移行出来た1例について紹介する. 【事例紹介】対象:70歳女性 A氏 悪性リンパ腫 1人暮らし経過:2008年8月~11月の間に入退院を繰り返し, 化学療法を行った. その後脊髄転移が出現し, 照射及び化学療法実施の為再入院となった. 治療は奏功したが, 下半身麻痺が残った. 【看護展開】2008年11月の再入院より, 主治医と病棟看護師が症状緩和を行っていたが, 疼痛コントロールが図れずに緩和ケアチームへ依頼した. 症状のコントロールを図ることができ, B病院へ転院した. 1か月後, 当院へ再入院となる. 退院支援看護師が介...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 61; no. 1; p. 85
Main Authors 中沢まゆみ, 飯塚さち子, 松田智恵, 楠恵, 黒澤亜弥, 羽鳥裕美子, 椎名美智子, 徳淵真由美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.02.2011
Online AccessGet full text
ISSN1343-2826

Cover

More Information
Summary:【はじめに】入院が長期化した患者に多職種が関わることで, 在宅療養へ移行出来た1例について紹介する. 【事例紹介】対象:70歳女性 A氏 悪性リンパ腫 1人暮らし経過:2008年8月~11月の間に入退院を繰り返し, 化学療法を行った. その後脊髄転移が出現し, 照射及び化学療法実施の為再入院となった. 治療は奏功したが, 下半身麻痺が残った. 【看護展開】2008年11月の再入院より, 主治医と病棟看護師が症状緩和を行っていたが, 疼痛コントロールが図れずに緩和ケアチームへ依頼した. 症状のコントロールを図ることができ, B病院へ転院した. 1か月後, 当院へ再入院となる. 退院支援看護師が介入し, 在宅療養には消極的であった家族と面接を繰り返し, 本人が帰りたいという思いを理解してもらうことができた. その結果, 家族の気持ちに変化がみられた. 本人は, 下半身麻痺となり在宅療養は一人ではできないと思っていたが, 「残存機能を訓練し生かすことでQOLの向上を図ることができる」という認識と, 「リハビリをすれば帰れる」という前向きな発言が聞かれた. その後, 試験外泊を2回行い, 1年6ヶ月の入院生活を終えて在宅療養へと移行することができた. 【考察】多職種が関わることで, 1人暮らしという不安な環境でも安心して帰れるという自信をつけることができた. その中で緩和ケアチームは, 本人の心の迷いや今後どのような毎日を送りたいのかという思いに寄り添うことができたと考えられる. 【まとめ】本人と家族が安心して在宅療養を迎えるためには, 多職種が連携し関わっていくことが重要である.
ISSN:1343-2826