12. 新たな緩和的治療に臨む大腸がん患者への関わり―治療継続への援助

【目的】進行・再発の大腸がんの化学療法は, めざましい進歩をとげている. 2005年4月, FOLFOX6療法・FOLFIRI療法, 2007年6月, 分子標的治療薬ベバシズマブが併用, さらに2009年9月, XELOX+AV療法が大腸がんにおける術後補助療法として認可された. 本研究の目的は, めまぐるしく変わる治療内容を体験した患者の, 治療継続への看護支援を構築することである. 【方法】外来通院治療を受ける大腸がん患者で, FOLFOX6療法・FOLFIRI療法, 分子標的治療薬ベバシズマブを併用, さらにXELOX+AV療法を体験した患者の看護記録を調査. 【倫理的配慮】対象患者が特...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 61; no. 1; p. 87
Main Authors 茂木真由美, 松本弘恵, 吉田佳子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.02.2011
Online AccessGet full text
ISSN1343-2826

Cover

More Information
Summary:【目的】進行・再発の大腸がんの化学療法は, めざましい進歩をとげている. 2005年4月, FOLFOX6療法・FOLFIRI療法, 2007年6月, 分子標的治療薬ベバシズマブが併用, さらに2009年9月, XELOX+AV療法が大腸がんにおける術後補助療法として認可された. 本研究の目的は, めまぐるしく変わる治療内容を体験した患者の, 治療継続への看護支援を構築することである. 【方法】外来通院治療を受ける大腸がん患者で, FOLFOX6療法・FOLFIRI療法, 分子標的治療薬ベバシズマブを併用, さらにXELOX+AV療法を体験した患者の看護記録を調査. 【倫理的配慮】対象患者が特定されないよう記録内容は意味を損なわないよう一部修正. 【結果・考察】XELOX療法は内服薬と注射薬を組み合わせて行うため「点滴の時間が短い」「通院回数が少ない」「持続静注ポンプに48時間拘束されない」という日常生活へのメリットを感じながらも, カペシタビンの内服により, 患者自身が在宅で行なう自己管理として, 有害事象が生じていても「これくらい耐えられる範囲なので, なんとか治療を続けて欲しい」と, 治療を続けることを考え症状を我慢していた. これはがんの進行に伴い繰り返し治療内容を変更する過程において「完治することがないなら治療を継続しても意味がないのではないか」と考えながらも「生きていくためにはこの治療が必要」という思いが同時に存在し「最後の治療」と捉え, 抗がん剤の変更・減量・休薬・中止に不安を抱きながら治療に臨んでいると考えられた. 【結論】延命・緩和目的に化学療法を受けている患者は「今日を生きることの意味を常に自分自身に問いかけ続けながら治療に臨んでいる」と考えられた. 看護師として, めまぐるしく変化をとげる大腸がん化学療法の治療内容の動向をキャッチし, 治療継続ができるよう精神的な支えと, 有害事象への支援が重要と考える.
ISSN:1343-2826