理学療法・作業療法研究における新たな視点

理学療法と作業療法は, 本来の発展の経緯は異なるものの, 我が国では法律の制定や養成教育の導入など, ほぼ同様に歩み, 現在に至っている. 肢体不自由を中心とした身体障害, 精神障害, 発達障害が理学療法と作業療法の主な対象であることには以前と大きな変化はない. しかし, 心疾患, 呼吸器疾患, 糖尿病などの内部障害, 青少年から若年者のスポーツ障害, がん, 認知症などの対象が増えてきている. 超高齢社会の到来により, 高齢者におけるニーズは増加し, 要介護状態に対する関わりや, 介護予防を目的とした支援も益々必要とされている. このような社会情勢や疾病構造の変化に対応し, 今後もその対象の...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 61; no. 3; p. 451
Main Authors 臼田滋, 外里冨佐江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.08.2011
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ISSN1343-2826

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Summary:理学療法と作業療法は, 本来の発展の経緯は異なるものの, 我が国では法律の制定や養成教育の導入など, ほぼ同様に歩み, 現在に至っている. 肢体不自由を中心とした身体障害, 精神障害, 発達障害が理学療法と作業療法の主な対象であることには以前と大きな変化はない. しかし, 心疾患, 呼吸器疾患, 糖尿病などの内部障害, 青少年から若年者のスポーツ障害, がん, 認知症などの対象が増えてきている. 超高齢社会の到来により, 高齢者におけるニーズは増加し, 要介護状態に対する関わりや, 介護予防を目的とした支援も益々必要とされている. このような社会情勢や疾病構造の変化に対応し, 今後もその対象の変遷は続くであろう. 一方で, それぞれの教育課程では大学・大学院教育が徐々に充実し, 学問基盤も整備されてきている. 並行して, 科学技術の進歩や科学的根拠に基づく臨床実践の浸透により, 新たな研究テーマへの着手と得られた知見の臨床実践への導入が盛んになってきている. 本ワークショップでは, そのような新しい着想に基づく理学療法と作業療法の研究の成果を, 関連領域の動向も含めて紹介して頂く. 内容としては, 呼吸器疾患に対する運動療法の新しい取り組み, 認知機能に対する脳機能イメージング, 神経系障害における痙縮に対する評価と介入, Dual Taskを応用した評価と介入, 地域在住高齢者に対する介護予防のテーマである. いずれも, 従来の理学療法や作業療法に, 新しい枠組みや機器を導入した研究・実践例である. 理学療法と作業療法は, 医療現場での認知度は高まってきているが, まだまだその具体的な内容については, 広く知られていないのが現状である. 本ワークショップが, そのような認知度向上の機会となれば, 幸いである.
ISSN:1343-2826