1. 食道癌に対するTomoTherapyの使用経験

食道癌治療において放射線治療は重要な役割を担っているが, 腫瘍の部位や進展範囲によっては正常組織の線量をおさえながら腫瘍に十分な線量を投与することが難しい場合がある. 特に食道癌は腫瘍の存在範囲が広範であったり, 頸部・胸部では腫瘍と危険臓器が近接していたりするため, 根治治療が困難であることがしばしばある. 一方, コンピューターや治療装置の進歩によって, 病巣の形状に合わせ正確に放射線を照射する技術が進歩しており, そのひとつとして強度変調放射線治療(IMRT)が注目されている. TomoTherapyはIMRT専用装置の一つであり, コンピューター断層撮影装置(Computed Tomo...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 61; no. 1; p. 99
Main Authors 河村英将, 高健夫, 岡本雅彦, 吉田大作, 江原威, 中野隆史, 安藤義孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.02.2011
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ISSN1343-2826

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Summary:食道癌治療において放射線治療は重要な役割を担っているが, 腫瘍の部位や進展範囲によっては正常組織の線量をおさえながら腫瘍に十分な線量を投与することが難しい場合がある. 特に食道癌は腫瘍の存在範囲が広範であったり, 頸部・胸部では腫瘍と危険臓器が近接していたりするため, 根治治療が困難であることがしばしばある. 一方, コンピューターや治療装置の進歩によって, 病巣の形状に合わせ正確に放射線を照射する技術が進歩しており, そのひとつとして強度変調放射線治療(IMRT)が注目されている. TomoTherapyはIMRT専用装置の一つであり, コンピューター断層撮影装置(Computed Tomography;CT)の技術を応用し, ヘリカルCTのスリップリングに, X線管球の代わりに6MVのライナックを搭載した放射線治療装置である. そのユニークな構造によりCTの撮影とヘリカル走査による線量分布の良い放射線治療とを実現している. 今回, 従来の放射線治療では治療が困難と考えられTomo Therapyを用いて放射線治療を行った食道癌症例について報告する. まだ, 治療症例数は少なく, 解決すべき問題点も多いが, 有望な治療法の選択肢のひとつになると考えられる. 【症例1】50歳代男性. 臨床病期IVb期(T3N1M1b)(Mt). ライナックで前後対向2門にて30.6Gy照射後, Tomo Therapyにて30Gy照射した. 脊髄の線量を低減しながら広範な腫瘍に照射が可能であった. 【症例2】60歳代男性. 臨床病期III期(T3N1M0)(Mt). ライナックで前後対向2門にて37.8Gy照射後, Tomo Therapyにて24Gy照射した. ライナックでの通常照射に比べ肺の線量を低減して照射が可能であった.
ISSN:1343-2826