マイクロ波凝固装置(マイクロターゼ(R))を用いた腹腔鏡下腎部分切除術の有用性と適応

小径腎細胞癌に対する腎部分切除術の長期成績は, 根治的腎摘除術と比較して遜色なく, 良好であることが明らかになっている1). 従来, 腎部分切除術の多くは腰部斜切開により後腹膜腔にアプローチし, 腎の冷却下で血流を遮断して施行されてきた. この術式で腎に到達するには3層の筋層を切開しなければならず, 時として肋骨の切除も余儀なくされることがある. すなわち, 開放手術による腎部分切除術は機能温存手術であるにもかかわらず, 少なくとも周術期においては根治的腎摘除術とほぼ同等の侵襲性を持つ術式ということができる. 近年の腹腔鏡手術の発達と普及は著しく, 泌尿器科領域においても副腎摘除術や腎摘除術を...

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Published inJournal of Microwave Surgery Vol. 22; pp. 137 - 140
Main Authors 岩村正嗣, 馬場志郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published メディカルレビュー社 2004
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ISSN0917-7728

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Summary:小径腎細胞癌に対する腎部分切除術の長期成績は, 根治的腎摘除術と比較して遜色なく, 良好であることが明らかになっている1). 従来, 腎部分切除術の多くは腰部斜切開により後腹膜腔にアプローチし, 腎の冷却下で血流を遮断して施行されてきた. この術式で腎に到達するには3層の筋層を切開しなければならず, 時として肋骨の切除も余儀なくされることがある. すなわち, 開放手術による腎部分切除術は機能温存手術であるにもかかわらず, 少なくとも周術期においては根治的腎摘除術とほぼ同等の侵襲性を持つ術式ということができる. 近年の腹腔鏡手術の発達と普及は著しく, 泌尿器科領域においても副腎摘除術や腎摘除術をはじめ, 最近では前立腺摘除術にまでその適応は拡大しており, 開放手術に比較した低侵襲性が注目されている. 1998年, Janetschekらは腎部分切除術を腹腔鏡下に施行し, その有用性を報告した2). しかし本術式を腹腔鏡下で施行する際, 実質切開に伴う出血のコントロールをいかに行うか, 2次元モニター下でいかに腫瘍の3次元構築を把握して腫瘍内への切り込みを予防するかなど, 克服すべきいくつかの問題点がある.
ISSN:0917-7728