新農薬創製への展望

農薬バイオサイエンス研究会は, 農薬学会においてさまざまな専門分野を取り扱う他の学術小集会とは性質が異なり, 将来の農薬開発につながる新知見・新技術に注目し, 分野にとらわれずに幅広い講演内容のシンポジウムを開催してきた. 日本農薬学会第37回大会において農薬バイオサイエンス研究会が中心となって開催されたシンポジウム「新農薬創製への展望」は, まさにその趣向に沿うべく企画された. 本シンポジウムでは特定の分野にしぼった講演を集めるのではなく, あえて分野横断的に「有機化学」「微生物」「昆虫」「植物」「生物間相互作用」をキーワードとし, 幅広い内容の講演を集めた. これにより, 多くの参加者の興...

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Published inJournal of Pesticide Science Vol. 37; no. 4; p. 372
Main Author 宮下正弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農薬学会 20.11.2012
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ISSN1348-589X

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Summary:農薬バイオサイエンス研究会は, 農薬学会においてさまざまな専門分野を取り扱う他の学術小集会とは性質が異なり, 将来の農薬開発につながる新知見・新技術に注目し, 分野にとらわれずに幅広い講演内容のシンポジウムを開催してきた. 日本農薬学会第37回大会において農薬バイオサイエンス研究会が中心となって開催されたシンポジウム「新農薬創製への展望」は, まさにその趣向に沿うべく企画された. 本シンポジウムでは特定の分野にしぼった講演を集めるのではなく, あえて分野横断的に「有機化学」「微生物」「昆虫」「植物」「生物間相互作用」をキーワードとし, 幅広い内容の講演を集めた. これにより, 多くの参加者の興味を充たすことができると考えたが, 一方で内容が幅広過ぎるため, 自分の関心のある話題以外にはついて行けない恐れがあることも感じていた. しかしながら, このような予想は良い意味で裏切られることとなった. いずれの講演も, こちらの意図を深く理解していただいた結果, 専門外のものにとっても非常にわかりやすい解説から始まり, 刺激的な最先端の研究成果はもちろんのこと, 最終的には将来の農薬開発の可能性にまで言及したすばらしいものばかりであった. 「農薬」というキーワードでこれほど幅広い研究分野を一つにまとめ上げることのできる農薬学会の存在価値の高さを改めて思い知らされた. 本誌では, シンポジウムの内容をもとに講演では伝えきれなかった点や, 最新の情報も含めたミニレビューの執筆を各演者に依頼した. いずれのミニレビューもシンポジウムでの興奮が呼び覚まされる内容となっており, 参加できなかった読者にもその興奮を感じ取っていただけると確信している. なお, 同シンポジウムでの大野竜太氏((財)相模中央化学研究所)の講演「近年特許公開された農薬活性化合物-作用性と化学構造による分類-」の内容については, 本誌の別企画での掲載が予定されており, そちらをご参照いただきたい.
ISSN:1348-589X