9.上顎半側切除後の上唇変形に対する治療経験-機能評価を含めて
顎口腔疾患の治療においては, 患者の社会復帰を考えると, 疾患の治療とともに, 形態機能回復も重要な問題である. 上顎切除時に頬部粘膜が切除範囲に含まれると, 同部の瘢痕拘縮により上唇の変形とともに, 口裂閉鎖不全が生じ, 審美的のみならず咀嚼発音等の機能的障害を後遺する. 今回, 我々は左上顎半側切除術後の上唇変形に対し, 形成手術を行い, 我々の開発した口唇圧測定装置による機能的評価を行ったので, その概要を報告する. 患者:65歳, 女性. 初診:平成14年7月10日. 臨床診断:左上顎癌(T2NOMO). 処置および経過:平成14年7月22日, 全麻下に左上顎半側切除術, および頬粘膜...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 55; no. 3; p. 310 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.08.2005
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Summary: | 顎口腔疾患の治療においては, 患者の社会復帰を考えると, 疾患の治療とともに, 形態機能回復も重要な問題である. 上顎切除時に頬部粘膜が切除範囲に含まれると, 同部の瘢痕拘縮により上唇の変形とともに, 口裂閉鎖不全が生じ, 審美的のみならず咀嚼発音等の機能的障害を後遺する. 今回, 我々は左上顎半側切除術後の上唇変形に対し, 形成手術を行い, 我々の開発した口唇圧測定装置による機能的評価を行ったので, その概要を報告する. 患者:65歳, 女性. 初診:平成14年7月10日. 臨床診断:左上顎癌(T2NOMO). 処置および経過:平成14年7月22日, 全麻下に左上顎半側切除術, および頬粘膜切除部に分層植皮術を施行した. 同年10月上顎切除後方部に再発を認め, 動注化学療法と放射線療法行い, 治療後3年の現在, 経過良好である. しかし, 左上唇の瘢痕拘縮により左口裂の閉鎖が困難なため, 平成17年6月2日, 全麻下にて, 左上唇の伸展術を行い, 同部のraw surfaceに分層植皮術を行った. 術後は上唇の左右対称性が得られ, 口裂の閉鎖も可能となつた. 口唇の機能評価は, 当科で開発した, 口唇圧測定器(茂木, 田島)を用い, 手術前後の口唇閉鎖圧を経時的に評価した. 特に口唇圧測定装置にも改良を加えたので, 併せて報告する. |
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ISSN: | 1343-2826 |