ヒト赤血球膜蛋白Band 4.2 Codon 142(GCT→ACT:Ala→Thr)変異の検索
ヒト赤血球膜蛋白band 4.2完全欠損症例の末梢血白血球より調製したDNAからPCR法(polymerase chain reaction)を用いて, band 4.2のexon 3を増幅し, 2種の制限酵素(EcoR IとPst I)で消化後, M13mp19ベクターに組み込み, その塩基配列を決定した. その結果, exon 3 codon 142におけるGCT(Ala)→ACT(Thr)の1塩基変異を見出した. 本症5家系6症例と, このうちの同家系内正常人について2家系6例とさらに健常人対照50例のDNAを, 変異部分を含むASO(allele specific oligonucle...
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Published in | 川崎医学会誌 Vol. 19; no. 4; pp. 371 - 379 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
川崎医学会
1993
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ISSN | 0386-5924 |
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Summary: | ヒト赤血球膜蛋白band 4.2完全欠損症例の末梢血白血球より調製したDNAからPCR法(polymerase chain reaction)を用いて, band 4.2のexon 3を増幅し, 2種の制限酵素(EcoR IとPst I)で消化後, M13mp19ベクターに組み込み, その塩基配列を決定した. その結果, exon 3 codon 142におけるGCT(Ala)→ACT(Thr)の1塩基変異を見出した. 本症5家系6症例と, このうちの同家系内正常人について2家系6例とさらに健常人対照50例のDNAを, 変異部分を含むASO(allele specific oligonucleotide)プローブを用いたdot blot法によって検索した. その結果, 本症6例全例にこの点変異を認め, ホモ接合体であった. なおこの変異の遺伝形式は常染色体劣性遺伝と考えられた. 健常人50例中1例にこの点変異が発見されたが, ヘテロ接合体であった. このcodon 142変異はband 4.2完全欠損症および本症で見られる74kDa蛋白に, 臨床的, 蛋白化学的, 遺伝学的に密接な関係があることを認めた. 「緒言」ヒト赤血球膜蛋白band 4.2はband 3の細胞質ドメインに結合し, 収縮蛋白網を膜脂質二重層に固定する作用があると考えられている1). |
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ISSN: | 0386-5924 |