6. 当院における緩和ケア教育を考える

【目的】当院は, 急性期病院で緩和ケア病棟がなく, 一般病棟で治療から見取りまで行っている地域の中核病院である. 今回, 緩和ケアに対する意識や質の向上を図るために, 地域で活動している緩和ケア認定看護師による研修会を企画した. 研修会終了後, 緩和ケアに対する意識と知識調査を実施し, 今後の緩和ケア教育のあり方を検討した. 【方法】参加者に, 職種, 所属施設, 参加動機, 緩和ケアの悩み, 学びたいことについてアンケート調査を行った(緩和ケアの悩み, 学びたいことについては複数回答可とした). 【結果】アンケート回収率は92%であった. 職種は, 看護師80名, 医師3名, 薬剤師3名,...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 61; no. 1; p. 79
Main Authors 内田幸枝, 島野玲子, 河内ルミ, 杉山千佳子, 萩原伸子, 菅山留美子, 神谷輝彦, 中村敏之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.02.2011
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ISSN1343-2826

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Summary:【目的】当院は, 急性期病院で緩和ケア病棟がなく, 一般病棟で治療から見取りまで行っている地域の中核病院である. 今回, 緩和ケアに対する意識や質の向上を図るために, 地域で活動している緩和ケア認定看護師による研修会を企画した. 研修会終了後, 緩和ケアに対する意識と知識調査を実施し, 今後の緩和ケア教育のあり方を検討した. 【方法】参加者に, 職種, 所属施設, 参加動機, 緩和ケアの悩み, 学びたいことについてアンケート調査を行った(緩和ケアの悩み, 学びたいことについては複数回答可とした). 【結果】アンケート回収率は92%であった. 職種は, 看護師80名, 医師3名, 薬剤師3名, コメディカル15名で, 年齢別では20歳代28名, 30歳代29名, 40歳代21名, 50歳代20名と年齢差はほとんどなかった. 所属施設は, 病院(当院)91名, 医院3名, 訪問看護ステーション3名, 診療所1名と当院スタッフが大部分を占めていた. 参加動機については, 緩和医療に関心あり83名, 他者に勧められて13名, 講師に関心あり11名, 緩和ケア認定看護師に興味あり8名であった. 緩和ケアの悩みについては, 精神的苦痛の緩和, 痛み以外の苦痛の緩和, 痛みの緩和の順で回答が多かった. 学びたいことは, コミュニケーションスキル, 家族ケア, 不安・鬱などの評価マネジメントをあげている人が多く見られた. 【考察】今回の結果から, 経験の有無に関わらず緩和ケアの悩みと学びたいことが相関していることがわかった. その背景には, 「マニュアルどおりにいかない」, 「指導的立場の人がいない」「情報を共有する場がない」などさまざまな要因があるのではないかと考える. 今後は, 地域の中核病院として緩和ケアの質の向上を図るため, 症例検討会や合同カンファレンスなどを通し, 医療者間のコミュニケーションの場を提供していきたい.
ISSN:1343-2826