13. 食道癌根治術後に胃管・S状結腸・下部尿管に発生した重複癌の一例
【はじめに】食道癌は重複癌が多いことで知られている. 今回, 食道癌術後の胃管・結腸・尿管癌の切除例を経験したので報告する. 【症例】79歳男性, 2003年食道癌に対し食道亜全摘, 胸骨後胃管再建を施行. 病理は扁平上皮癌, pT3N2M0 stage III. 2008年2月, 便潜血陽性で近医にて下部消化管内視鏡検査を施行, S状結腸癌を認めた. 術前検査で, 下部胃管にIIa+IIcの印環細胞癌, CTで右下部尿管癌を指摘, CT・FDG-PETで各腫瘍ともリンパ節転移は認めず. 胃管癌は, Ul(+)でESD適応外と診断された. 術前に血管造影で胃管の栄養血管の走行を確認マーキングを...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 59; no. 2; p. 197 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.05.2009
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ISSN | 1343-2826 |
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Summary: | 【はじめに】食道癌は重複癌が多いことで知られている. 今回, 食道癌術後の胃管・結腸・尿管癌の切除例を経験したので報告する. 【症例】79歳男性, 2003年食道癌に対し食道亜全摘, 胸骨後胃管再建を施行. 病理は扁平上皮癌, pT3N2M0 stage III. 2008年2月, 便潜血陽性で近医にて下部消化管内視鏡検査を施行, S状結腸癌を認めた. 術前検査で, 下部胃管にIIa+IIcの印環細胞癌, CTで右下部尿管癌を指摘, CT・FDG-PETで各腫瘍ともリンパ節転移は認めず. 胃管癌は, Ul(+)でESD適応外と診断された. 術前に血管造影で胃管の栄養血管の走行を確認マーキングを行った. 【手術】上腹部正中山切開創より, 胃管の前面を剥離し, 胸骨T字切開した. 術中内視鏡下に病変を同定し, 胃管部分切除施行. S状結腸癌はS状結腸切除D3郭清, 下部尿管癌は尿管・膀胱壁部分切除・尿管皮膚瘻造設を行った. 【病理】胃管癌:印環細胞癌, m, ly0, v0, 断端陰性. S状結腸癌:高分化腺癌pT2(mp)N0M0St I. 尿管癌:移行上皮癌pT2(mp)N0M0St II. 【まとめ】食道癌根治術後の胃管癌を含む重複癌を経験した. 食道癌は重複癌が多く, 治癒切除例の増加により, 異時性重複癌も増加してきているため術後の適切なサーベイランスが必須である. 食道癌術後の重複癌に対しては高齢で全身状態が低下している症例も多く, 治療方針の検討が必要である. |
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ISSN: | 1343-2826 |