第80回日本衛生学会学術総会(仙台)でのミニシンポジウム「胃電図と衛生学」に関連したミニ特集について

近年, 便秘や過敏性大腸炎などの機能性胃腸症(FD: Functional Dyspepsia)など, 胃腸の運動機能の異常に伴う疾病が問題になっている. 特に, 中・高齢者が弛緩性便秘の症状を有する割合は多いと考えられ, 衛生学的にも意義深いトピックである. 国民衛生の動向(2009年)によれば, 人口千人に対する世帯員(入院患者を除く)のうち便秘の自覚症状のある者の数を表す「有訴者率」は, 55~64歳については37.3であるのに対し, 65~74歳ではその倍近くの71.1に達し, 75歳以上については更に増大する. 一方, 胃の活動を簡便に測定できる方法として経皮的胃電図(Electro...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 66; no. 1; p. 53
Main Authors 高田宗樹, 宮尾克
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生学会 2011
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ISSN0021-5082

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Summary:近年, 便秘や過敏性大腸炎などの機能性胃腸症(FD: Functional Dyspepsia)など, 胃腸の運動機能の異常に伴う疾病が問題になっている. 特に, 中・高齢者が弛緩性便秘の症状を有する割合は多いと考えられ, 衛生学的にも意義深いトピックである. 国民衛生の動向(2009年)によれば, 人口千人に対する世帯員(入院患者を除く)のうち便秘の自覚症状のある者の数を表す「有訴者率」は, 55~64歳については37.3であるのに対し, 65~74歳ではその倍近くの71.1に達し, 75歳以上については更に増大する. 一方, 胃の活動を簡便に測定できる方法として経皮的胃電図(Electrogastrogram, EGG)がある. これは胃の周期的な電気活動について皮膚を介して記録する方法であり, 1921年, Alvarezによって初めて記録された. 胃の電気活動は, 健常者における安静時, および食後一定時間が経過した後は1分間に約3回(3 cycle per minute, cpm)の周期で変動し, これは胃のペースメーカー(Cajalの間質細胞)の電気活動に由来する.
ISSN:0021-5082