肛門周囲膿瘍を契機として発見された肛門管癌の1例

肛門管癌は比較的稀な疾患であるとともに,特徴的な臨床症状はない.このため早期発見に難渋することがある。今回,肛門周囲膿瘍を契機として発見された症例を経験した.そこで早期発見への注意を含め報告する.症例は62歳,男性.肛門痛を主訴として受診.肛門周囲膿瘍の切開排膿後,痔瘻根治手術を施行したが,手術創の治癒が不良であった.約1年6カ月後手術創に硬結を触知し,生検で粘液癌と診断されたため,腹会陰式直腸切断術を行なった.手術所見を含めた摘出標本の肉眼的,病理学的診断は, P, 5型, A1, N0, H0, P0, Stage IIで,間質に著明な粘液貯留と印環細胞の浮遊を伴う粘液癌であった.本症例の...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 45; no. 7; pp. 1004 - 1007
Main Authors 樽見, 研, 平田, 公一, 横川, 金弥, 島津, 雄一, 佐藤, 昌明, 筒井, 完, 佐々木, 一晃, 石山, 勇司, 高坂, 一
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本大腸肛門病学会 01.11.1992
Subjects
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.45.7_1004

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Summary:肛門管癌は比較的稀な疾患であるとともに,特徴的な臨床症状はない.このため早期発見に難渋することがある。今回,肛門周囲膿瘍を契機として発見された症例を経験した.そこで早期発見への注意を含め報告する.症例は62歳,男性.肛門痛を主訴として受診.肛門周囲膿瘍の切開排膿後,痔瘻根治手術を施行したが,手術創の治癒が不良であった.約1年6カ月後手術創に硬結を触知し,生検で粘液癌と診断されたため,腹会陰式直腸切断術を行なった.手術所見を含めた摘出標本の肉眼的,病理学的診断は, P, 5型, A1, N0, H0, P0, Stage IIで,間質に著明な粘液貯留と印環細胞の浮遊を伴う粘液癌であった.本症例のような粘液産生肛門管癌は肛門周囲膿瘍の形で発見されることがあり注意が必要である.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.45.7_1004