クローン病のPerianal Lesionの治療 とくに難治性痔瘻に対するSeton Sutureの有用性について

当教室で経験したクローン病患者52例について検討した.このうち42例・約80%に肛門病変を認めた.内訳は裂肛が15例,cavitating ulcerが4例,ulcerated pileが2例,痔瘻が34例で,全肛門病変の約8割は痔瘻であり,小腸大腸型では複雑,難治化する傾向が認められた.治療としては裂肛,cavitaing ulcer, ulcerated pile等primary lesionに対しては口側腸管の炎症の改善のために経腸成分栄養療法等を行い有効性を認めたが,無効例に対しては口側病変腸管の切除が必要であった.有痛性膿瘍に対してはまずderoofing等ドレナージが必要で,単純性...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 47; no. 9; pp. 1046 - 1053
Main Authors 三枝, 直人, 馬場, 正三, 中井, 勝彦
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本大腸肛門病学会 01.10.1994
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Summary:当教室で経験したクローン病患者52例について検討した.このうち42例・約80%に肛門病変を認めた.内訳は裂肛が15例,cavitating ulcerが4例,ulcerated pileが2例,痔瘻が34例で,全肛門病変の約8割は痔瘻であり,小腸大腸型では複雑,難治化する傾向が認められた.治療としては裂肛,cavitaing ulcer, ulcerated pile等primary lesionに対しては口側腸管の炎症の改善のために経腸成分栄養療法等を行い有効性を認めたが,無効例に対しては口側病変腸管の切除が必要であった.有痛性膿瘍に対してはまずderoofing等ドレナージが必要で,単純性痔瘻は寛解期の根治手術施行例17例中11例が治癒状態となった.また難治・複雑性痔瘻7例に対してseton sutureを行い,2例が治癒状態となった.さらに直腸尿道瘻を含む重症例に対し,fecal diversionを要した例が6例みられ,合併痔瘻の治療では局所療法のみならず口側病変腸管の治療が重要であると思われた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.47.1046