大腸癌と胆嚢摘除との関連に関する検討

教室大腸癌症例316例を対象として胆嚢摘除の既往歴を持つ症例を集計し,同時に胃癌症例316例をmatched-pair control群として設定し,更に非消化器癌例として乳癌316例にも同様の病歴の検索を行った.胆嚢摘除既往例の出現率は同時手術例を含めて大腸癌では10例(3.16%),胃癌では5例(1.58%),乳癌では8例(2.53%)であった.大腸癌群と胃癌群間での胆嚢摘除既往の出現率の比較ではカイニ乗検定でp<.05,Yatesの修正カイニ乗検定ではp<.10と弱い有意差を認めた,胆嚢摘除を既往歴に有する患者の大腸癌罹患の相対危険度は2.037であった.乳癌群との間に有意な...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 36; no. 3; pp. 223 - 226
Main Authors 水間, 公一, 戸塚, 守夫, 早坂, 滉
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本大腸肛門病学会 01.05.1983
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Summary:教室大腸癌症例316例を対象として胆嚢摘除の既往歴を持つ症例を集計し,同時に胃癌症例316例をmatched-pair control群として設定し,更に非消化器癌例として乳癌316例にも同様の病歴の検索を行った.胆嚢摘除既往例の出現率は同時手術例を含めて大腸癌では10例(3.16%),胃癌では5例(1.58%),乳癌では8例(2.53%)であった.大腸癌群と胃癌群間での胆嚢摘除既往の出現率の比較ではカイニ乗検定でp<.05,Yatesの修正カイニ乗検定ではp<.10と弱い有意差を認めた,胆嚢摘除を既往歴に有する患者の大腸癌罹患の相対危険度は2.037であった.乳癌群との間に有意な差は認めなかった.大腸癌占拠部位では直腸が多く本邦,外国報告とは異なっていたが,同様の指摘をしている報告もある.胆嚢摘除既往例の出現頻度は大凡全症例の占拠部位頻度と一致し部位的特異性はわれわれの検討ではなかったと云える.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.36.223