Ogilvie症候群(Pseudo-obstruction of the Colon)における大腸内視鏡挿入の試み

脳硬塞を契機として発症した急性の偽性大腸閉塞,いわゆるOgilvie症候群に対し大腸内視鏡挿入を試みた.本疾患の診断には大腸に閉塞部のないことを確認しなければならず,そのためには大腸X線検査よりも体位変換の不要である内視鏡検査は有用と思われた.また内視鏡は吸引操作を行うことにより,腸内の減圧を図り,本疾患の主症状である腹部膨隆を消失させるとともに,腸管内圧の上昇により危険性の増した穿孔を未然に防ぐ,治療面においても有用であった. 従来,大腸内視鏡検査は,その手技の困難さにより特殊検査法であったが,器械の改良や手技の確立により,簡単かつ安全な検査法となった.しかし本症例のごとく,全身状態の悪化し...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 391 - 394
Main Authors 宮岡, 正明, 白鳥, 泰正, 堀口, 潤, 木下, 剛, 陳, 培欽, 窪田, 良彦, 勝亦, 重弘, 堀向, 文憲, 竹下, 俊隆, 松本, 英一, 斉藤, 利彦, 芦澤, 真六
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本大腸肛門病学会 01.07.1985
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Summary:脳硬塞を契機として発症した急性の偽性大腸閉塞,いわゆるOgilvie症候群に対し大腸内視鏡挿入を試みた.本疾患の診断には大腸に閉塞部のないことを確認しなければならず,そのためには大腸X線検査よりも体位変換の不要である内視鏡検査は有用と思われた.また内視鏡は吸引操作を行うことにより,腸内の減圧を図り,本疾患の主症状である腹部膨隆を消失させるとともに,腸管内圧の上昇により危険性の増した穿孔を未然に防ぐ,治療面においても有用であった. 従来,大腸内視鏡検査は,その手技の困難さにより特殊検査法であったが,器械の改良や手技の確立により,簡単かつ安全な検査法となった.しかし本症例のごとく,全身状態の悪化した症例では被検者の状態が刻々と変化する場合があり,細心の注意が必要である.またこのような状態での検査を円滑に行うためには,日頃より症例を重さね,その挿入に熟達しておかねばならないと思われた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.38.391