興味ある十二指腸病変を合併した潰瘍性大腸炎と思われる1症例

潰瘍性大腸炎 (以下UCと略す) に十二指腸全域にびまん性の十二指腸炎を合併した報告は極めてまれであり, 1960年Thompsonが類似例を報告しているのみである.われわれは, 全結腸炎型のUCに, 十二指腸球部より, 十二指腸空腸曲に至る十二指腸炎の合併した例を経験したので報告する.症例は39歳 (初診時32歳) 主婦.心窩部痛, 軟便を主訴に来院.注腸造影では全結腸炎型を呈し, 内視鏡, 生検組織学的検索においてもUCに一致する所見であった.上部消化管造影では, 十二指腸球部より, 十二指腸空腸曲にかけ, 連続的な管腔の狭小化, 壁の硬化像, ビラン形成を認め, 第3部では狭窄も伴ってい...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 37; no. 3; pp. 255 - 260
Main Authors 五十嵐, 正広, 広門, 一孝, 相羽, 英雄, 勝又, 伴栄, 山本, 佳正, 中, 英男, 鈴木, 裕, 岡部, 治弥
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本大腸肛門病学会 01.05.1984
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.37.255

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Summary:潰瘍性大腸炎 (以下UCと略す) に十二指腸全域にびまん性の十二指腸炎を合併した報告は極めてまれであり, 1960年Thompsonが類似例を報告しているのみである.われわれは, 全結腸炎型のUCに, 十二指腸球部より, 十二指腸空腸曲に至る十二指腸炎の合併した例を経験したので報告する.症例は39歳 (初診時32歳) 主婦.心窩部痛, 軟便を主訴に来院.注腸造影では全結腸炎型を呈し, 内視鏡, 生検組織学的検索においてもUCに一致する所見であった.上部消化管造影では, 十二指腸球部より, 十二指腸空腸曲にかけ, 連続的な管腔の狭小化, 壁の硬化像, ビラン形成を認め, 第3部では狭窄も伴っていた.生検組織においては, 好中球を主とする炎症細胞浸潤, cryptitis, crypt abscessなどの像を認めた.本例は7年半の経過をみているが, 十二指腸病変と大腸病変とは, ほぼ同時期に緩解, 増悪をくり返し, UCと同一病態の十二指腸病変と考えられる興味ある一例である.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.37.255