腹腔内膿瘍を合併した若年者大腸癌の1例
腹腔内膿瘍を合併した若年者大腸癌の1例を経験した.症例は24歳, 男性.腹痛, 下痢, 発熱を主訴として来院.右下腹部に限局性腹膜炎の所見を認め, 腹部エコーでは同部に一致して腹腔内膿瘍を認めたため緊急手術を行った.開腹所見では大網が膿瘍壁を形成しており, 横行結腸と強固に癒着していた.膿瘍および横行結腸の部分切除を行った結果, 結腸癌と診断されたため, 改めて右半結腸切除術を施行した.組織学的には中分化腺癌で, 一部に低分化腺癌, 粘液癌の所見を認めた.病期はss, a2, n (-), H0, P0, stageIIであった.一般に若年者大腸癌は, 生物学的悪性度が高く予後は不良とされてい...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 42; no. 3; pp. 415 - 419 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
25.05.1989
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Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.42.415 |
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Summary: | 腹腔内膿瘍を合併した若年者大腸癌の1例を経験した.症例は24歳, 男性.腹痛, 下痢, 発熱を主訴として来院.右下腹部に限局性腹膜炎の所見を認め, 腹部エコーでは同部に一致して腹腔内膿瘍を認めたため緊急手術を行った.開腹所見では大網が膿瘍壁を形成しており, 横行結腸と強固に癒着していた.膿瘍および横行結腸の部分切除を行った結果, 結腸癌と診断されたため, 改めて右半結腸切除術を施行した.組織学的には中分化腺癌で, 一部に低分化腺癌, 粘液癌の所見を認めた.病期はss, a2, n (-), H0, P0, stageIIであった.一般に若年者大腸癌は, 生物学的悪性度が高く予後は不良とされている.予後の改善には早期発見が重要で, 若年者といえども常に癌の存在を念頭においておくことが必要である. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.42.415 |