再発を繰り返した急性出血性直腸潰瘍の1例

症例は80歳, 女性, 主訴は下血.糖尿病, 脳出血後遺症で当科加療中, 平成6年11月から平成7年10月までの約1年間に5回にわたる突然の無痛性大量下血で入退院を繰り返した.下血発症時にはいずれも肛門輪直上の下部直腸に浅い潰瘍性病変が観察され, 形状は不整地図状, 小型類円形, Dieulafoy型と多彩であった.保存的治療や内視鏡的止血術にて5回とも速やかに止血し, そのたびに直腸潰瘍も瘢痕化して治癒した.再発を繰り返し再出血が危惧されるため手術適応と判断し, 平成7年10月12日に直腸局所切除, 人工肛門造設術を施行した.組織像は中等度の非特異性炎症所見を伴う上皮欠損であった.臨床経過と...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 49; no. 5; pp. 384 - 389
Main Authors 木村, 聖路, 鈴木, 和夫, 相沢, 中, 塩谷, 晃, 山形, 和史
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本大腸肛門病学会 01.06.1996
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Summary:症例は80歳, 女性, 主訴は下血.糖尿病, 脳出血後遺症で当科加療中, 平成6年11月から平成7年10月までの約1年間に5回にわたる突然の無痛性大量下血で入退院を繰り返した.下血発症時にはいずれも肛門輪直上の下部直腸に浅い潰瘍性病変が観察され, 形状は不整地図状, 小型類円形, Dieulafoy型と多彩であった.保存的治療や内視鏡的止血術にて5回とも速やかに止血し, そのたびに直腸潰瘍も瘢痕化して治癒した.再発を繰り返し再出血が危惧されるため手術適応と判断し, 平成7年10月12日に直腸局所切除, 人工肛門造設術を施行した.組織像は中等度の非特異性炎症所見を伴う上皮欠損であった.臨床経過と内視鏡所見および組織像から急性出血性直腸潰瘍と判断した.本疾患の手術適応は少ないが, たびたび再発を繰り返すため最終的に手術を要したまれな1例であった.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.49.384