潰瘍性大腸炎の易再燃性と細胞増殖能との相関に関する研究

潰瘍性大腸炎 (UC) の易再燃性と緩解期直腸粘膜の細胞増殖能, および組織学的病期が相関するか否かについて検討した.UC28例を発症からの経過年数により, 5年未満の短期経過例 (12例) と5年以上の長期経過例 (16例) に分け, さらに長期経過例を再燃率から易再燃群 (6例) と緩解持続群 (10例) に分類した.緩解期直腸粘膜から生検し, BrdU, Ki-67染色による細胞増殖能と組織学的病期について検討を行った.易再燃群のBrdU標識率は, 緩解持続群より有意 (p<0.05) に高値であった.易再燃群のBrdU/Ki-67比は, 緩解持続群, 短期経過例より有意 (p&l...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 49; no. 4; pp. 296 - 303
Main Author 遠藤, 昌樹
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本大腸肛門病学会 01.05.1996
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Summary:潰瘍性大腸炎 (UC) の易再燃性と緩解期直腸粘膜の細胞増殖能, および組織学的病期が相関するか否かについて検討した.UC28例を発症からの経過年数により, 5年未満の短期経過例 (12例) と5年以上の長期経過例 (16例) に分け, さらに長期経過例を再燃率から易再燃群 (6例) と緩解持続群 (10例) に分類した.緩解期直腸粘膜から生検し, BrdU, Ki-67染色による細胞増殖能と組織学的病期について検討を行った.易再燃群のBrdU標識率は, 緩解持続群より有意 (p<0.05) に高値であった.易再燃群のBrdU/Ki-67比は, 緩解持続群, 短期経過例より有意 (p<0.05) に高値であった.直腸炎は他の病型に比し低値であった.組織学的病期と細胞増殖能は正の相関を示す傾向を認めた.潰瘍性大腸炎の長期経過例における易再燃性の客観的指標として, 緩解期直腸粘膜の細胞増殖能と組織学的病期が有用と考えられる.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.49.296