糞便嵌頓によるS状結腸穿孔(宿便性S状結腸穿孔)の1手術例と本邦報告例の検討

症例は45歳, 女性で長期間向精神薬投与を受けていた精神分裂病患者であり, 便秘傾向強く, 絶えず下剤を服用していた. 主訴は腹痛, 腹部膨満である. 臨床症状としては通常者の大腸穿孔に比し本例は乏しく, 発熱, 腹部膨満, 左中下腹部の圧痛と軽度の筋性防御を認めた. X-P で横隔膜下の free air と後腹膜気腫像と糞塊を認め, 白血球増多もあった. 以上より大腸穿孔による腹膜炎と診断した. 緊急手術を行い, S状結腸穿孔とその口側に硬い糞塊を連続性に下行結腸まで認めたので, 糞塊を含め結腸左半切除, EEAによる一期的吻合, 内肛門括約筋切開術を施行した. 切除標本およびその病理組織...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 46; no. 1; pp. 58 - 64
Main Authors 堀口, 実, 岩渕, 正之
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本大腸肛門病学会 1993
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Summary:症例は45歳, 女性で長期間向精神薬投与を受けていた精神分裂病患者であり, 便秘傾向強く, 絶えず下剤を服用していた. 主訴は腹痛, 腹部膨満である. 臨床症状としては通常者の大腸穿孔に比し本例は乏しく, 発熱, 腹部膨満, 左中下腹部の圧痛と軽度の筋性防御を認めた. X-P で横隔膜下の free air と後腹膜気腫像と糞塊を認め, 白血球増多もあった. 以上より大腸穿孔による腹膜炎と診断した. 緊急手術を行い, S状結腸穿孔とその口側に硬い糞塊を連続性に下行結腸まで認めたので, 糞塊を含め結腸左半切除, EEAによる一期的吻合, 内肛門括約筋切開術を施行した. 切除標本およびその病理組織検査で糞塊によるS状結腸穿孔とその近傍に5個の ULI-II の宿便性潰瘍を認めた. 以上長期間向精神薬投与を受けていた精神分裂病患者に宿便性S状結腸穿孔を生じ手術により治癒した1例を報告するとともに本邦報告例を集計検討した.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.46.58