心臓手術中の脳虚血モニタとしてのBispectral Index (BIS) の有用性

ペースメーカーを装着した患者の冠動脈バイパス術で, Bispectral index (BIS) と近赤外線分光法 (NIR) による脳組織酸素飽和度 (rSO2) をモニタした。麻酔はフェンタニル, プロポフォールで行った。人工心肺離脱後, 自己心拍とペーシングが競合し血圧が低下した。この時急激なBISの低下 (55→0) とSuppression Ratio (SR) の上昇 (2→99) を認めた。このときrSO2も51~53%から27~28%に低下した。一時的な人工心肺の再開で, BISとrSO2は速やかに回復し, 以後の経過に問題もなく中枢神経障害を残さなかった。BISは本来鎮静レベ...

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Published in蘇生 Vol. 22; no. 1; pp. 28 - 30
Main Authors 坂部, 武史, 新庄, 康孝, 中木村, 和彦, 松本, 美志也, 大竹, 一信, 石田, 和慶, 森本, 康裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 15.04.2003
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ISSN0288-4348
1884-748X
DOI10.11414/jjreanimatology1983.22.28

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Summary:ペースメーカーを装着した患者の冠動脈バイパス術で, Bispectral index (BIS) と近赤外線分光法 (NIR) による脳組織酸素飽和度 (rSO2) をモニタした。麻酔はフェンタニル, プロポフォールで行った。人工心肺離脱後, 自己心拍とペーシングが競合し血圧が低下した。この時急激なBISの低下 (55→0) とSuppression Ratio (SR) の上昇 (2→99) を認めた。このときrSO2も51~53%から27~28%に低下した。一時的な人工心肺の再開で, BISとrSO2は速やかに回復し, 以後の経過に問題もなく中枢神経障害を残さなかった。BISは本来鎮静レベルのモニタであるが, 本症例のように循環不全時には, 脳血流の低下に伴う脳波の変化を鋭敏に捉え, 心臓手術中の脳虚血モニタとしても有用と考えられた。
ISSN:0288-4348
1884-748X
DOI:10.11414/jjreanimatology1983.22.28