訪問リハビリテーション利用者の生活空間の変化
【はじめに】訪問リハビリテーション(以下訪問リハ)利用者の生活空間の変化について、LSAを用い独居者と同居者で比較検討した。【対象】訪問リハを6ヶ月継続した37名、年齢74.6±13.4歳、独居:同居=13:24である。一日中又は日中独居の利用者を独居と常時介助者がいる利用者を同居とした。【方法】LSAを用い以下の1)~5)の流れで調査検討した。1)対象者全体のLSA総合得点、空間、頻度、自立度の得点の初回、3ヶ月、6ヶ月における得点変化を調査した。2)1)を独居、同居に分けて総合得点の経時的変化を分析した。3)独居と同居の初回、3ヶ月、6ヶ月における総合得点および空間、頻度、自立度の得点を両...
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Published in | 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2010; p. 285 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
九州理学療法士・作業療法士合同学会
2010
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu |
Subjects | |
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ISSN | 0915-2032 2423-8899 |
DOI | 10.11496/kyushuptot.2010.0.285.0 |
Cover
Summary: | 【はじめに】訪問リハビリテーション(以下訪問リハ)利用者の生活空間の変化について、LSAを用い独居者と同居者で比較検討した。【対象】訪問リハを6ヶ月継続した37名、年齢74.6±13.4歳、独居:同居=13:24である。一日中又は日中独居の利用者を独居と常時介助者がいる利用者を同居とした。【方法】LSAを用い以下の1)~5)の流れで調査検討した。1)対象者全体のLSA総合得点、空間、頻度、自立度の得点の初回、3ヶ月、6ヶ月における得点変化を調査した。2)1)を独居、同居に分けて総合得点の経時的変化を分析した。3)独居と同居の初回、3ヶ月、6ヶ月における総合得点および空間、頻度、自立度の得点を両群で比較した。4)独居と同居の初回~3ヶ月、3ヶ月~6ヶ月の期間ごとに、LSA総合得点の改善の有無で改善群と非改善群に分類し、併用サービス(訪問介護・訪問看護・通所系サービス)、住宅改修の有無との関係を分析した。5)独居と同居の初回~3ヶ月、3ヶ月~6ヶ月の改善群と非改善群の訪問リハの利用回数(週)を比較した。【倫理的配慮】本研究は当法人倫理委員会の承認を得ている。【結果】1)対象者全体のLSAは総合得点、空間、頻度、自立度において有意に改善していた。2)独居では、LSAの総合得点、頻度、空間、同居では、頻度と自立度において改善がみられた。3)初回、3ヶ月、6ヶ月の各期間における独居と同居の比較では、総合得点、空間、頻度に有意差を認めなかったが自立度は初回と3ヶ月で独居が有意に高かった。4)独居ではLSAの改善と併用サービス、住宅改修との間に関係は認められなかった。同居ではLSAの改善と初回~3ヶ月、3~6ヶ月で通所系サービス利用と関係がみられた。5)独居の初回~3か月の期間における改善群が非改善群より訪問リハの利用回数が多かった。【考察】今回の調査で訪問リハ利用者の生活空間は経時的に拡大していることが確認できた。独居と同居の比較では、独居で空間と頻度、同居で頻度と自立度の得点に向上がみられた。結果3)より独居は初回、3ヶ月の自立度が同居より有意に高いが、総合得点では差はない。すなわち移動の自立度は高いが空間、頻度の得点が低く、閉じこもり傾向が考えられた。結果5)と合わせて考えると独居者は閉じこもり傾向にあり、その改善のためには初期の訪問リハの介入頻回を上げることが重要と考えられた。一方同居では結果4)から通所系サービスと訪問リハビリの併用が頻度と自立度の改善に有効であるとが考えられた。しかし空間の得点は増加しておらず、通所系サービスの空間が生活範囲の上限になっている事が考えられた。訪問リハ、通所リハなどのフォーマルなサービスの充実と連携強化はもちろん地域のインフォーマルなサービスとの連携が、在宅生活者の更なる生活空間拡大に必要と考える。 |
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ISSN: | 0915-2032 2423-8899 |
DOI: | 10.11496/kyushuptot.2010.0.285.0 |