自宅退院に関連する要因の検討
【目的】自宅退院後の在宅生活には地域の介護サービスの充足状況が関連すると考えられる。今回、回復期リハビリテーション(リハ)病棟からの自宅退院について、介護サービスの実態を含めて検討した。 【方法】対象は平成18~20年に当院の回復期リハ病棟より退院した患者のうち、居住地域(地域)がG県T市65、F市98、N郡40、S県H市18、K郡24名の合計245名とした。情報公開に関する説明にて包括同意を得た上で、後方視的研究として患者情報は完全匿名化して用いた。それぞれの高齢化率は順に、21.7、22.9、48.4、20.0、18.8%であった。運動器疾患115名、脳血管疾患130名、入院期間は平均82...
Saved in:
Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 30; p. 97 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
2011
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0916-9946 2187-123X |
DOI | 10.14901/ptkanbloc.30.0.97.0 |
Cover
Loading…
Summary: | 【目的】自宅退院後の在宅生活には地域の介護サービスの充足状況が関連すると考えられる。今回、回復期リハビリテーション(リハ)病棟からの自宅退院について、介護サービスの実態を含めて検討した。
【方法】対象は平成18~20年に当院の回復期リハ病棟より退院した患者のうち、居住地域(地域)がG県T市65、F市98、N郡40、S県H市18、K郡24名の合計245名とした。情報公開に関する説明にて包括同意を得た上で、後方視的研究として患者情報は完全匿名化して用いた。それぞれの高齢化率は順に、21.7、22.9、48.4、20.0、18.8%であった。運動器疾患115名、脳血管疾患130名、入院期間は平均82.2日であった。年齢、Functional Independence Measureの運動項目合計点(FIM-M)と認知項目合計点(FIM-C)、家族構成(独居、配偶者、子供の同居率)、退院先(自宅または非自宅)を調査した。介護サービス情報として、介護サービス情報公表センターおよび電話調査から、訪問介護・訪問看護・通所介護の事業所数、短期入所(短期入所生活介護、短期入所療養介護)の定員数を調査し、各地域の人口統計より要介護者1万人あたりの数を算出した。加えて退院後の訪問介護・訪問看護・通所介護・短期入所の介護サービス利用状況を調査した。
各調査項目における各地域の違いをχ2検定および一元配置分散分析にて検証した。統計解析にはDr.SPSSIIfor Windowsを用い、有意水準は5%とした。
【結果】自宅退院率はG県T市、F市、N郡、S県H市、K郡の順に67.7、85.7、82.5、66.7、66.7%であり、自宅退院率は有意に異なった。
地域別の年齢、FIM-M、FIM-C、独居率、配偶者同居率、子供同居率に有意な違いは認められなかった。介護サービス情報は、事業所数が訪問介護53、82、37、83、80件、訪問看護19、14、9、19、0件、通所介護77、100、83、111、118件、短期入所の定員数は205、246、139、291、467名であった。介護サービス利用率は訪問介護11.4、14.3、3.0、8.3、6.3%、訪問看護は0.0、3.6、3.0、0.0、0.0%、通所介護38.6、40.5、51.5、16.7、31.3%、短期入所は6.8、1.2、6.1、0.0、0.0%であった。
【考察】自宅退院率が高かったF市とN郡について、F市は事業所数およびサービス利用率が高い傾向にある一方で、N郡の事業所数は全体的に少なく、訪問介護の利用率も低かった。しかし、N郡の通所介護と短期入所の利用率は高く、在宅より通所系サービスの利用に偏る傾向があった。地域の介護サービスの充足状況が、介護サービスの利用形態に関連すると考えられ、在宅生活を想定する際は地域特性の把握が必要と考えられる。 |
---|---|
ISSN: | 0916-9946 2187-123X |
DOI: | 10.14901/ptkanbloc.30.0.97.0 |