与薬業務フローの分析に基づいた与薬業務の改善

はじめに  看護部より提出されたオカレンスレポートに基づき、与薬業務のどの段階でどのようなエラーが起こっているのかを検証した結果、処方の違いでエラー箇所に特徴があること、服薬確認を確実に行うことで与薬エラーの早期発見と減少に効果があったので報告する。 _I_方法 1.平成14年4月~平成18年1月の与薬エラー222件を処方別に業務フロー分析 2.院内与薬業務の標準化と与薬事故防止対策マニュアルの作成 3.服薬確認票の作成と導入 _II_結果・考察 1)処方別エラー分析と与薬業務の標準化  処方別に「指示出し」から「服薬」までのどの段階でエラーが多く起こっているのかを検証した。『定期処方』では、...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 56; p. 17
Main Authors 安西 登美子, 伊藤 弥生, 伊川 順子, 益田 和明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE 2007
一般社団法人 日本農村医学会
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.56.0.17.0

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Summary:はじめに  看護部より提出されたオカレンスレポートに基づき、与薬業務のどの段階でどのようなエラーが起こっているのかを検証した結果、処方の違いでエラー箇所に特徴があること、服薬確認を確実に行うことで与薬エラーの早期発見と減少に効果があったので報告する。 _I_方法 1.平成14年4月~平成18年1月の与薬エラー222件を処方別に業務フロー分析 2.院内与薬業務の標準化と与薬事故防止対策マニュアルの作成 3.服薬確認票の作成と導入 _II_結果・考察 1)処方別エラー分析と与薬業務の標準化  処方別に「指示出し」から「服薬」までのどの段階でエラーが多く起こっているのかを検証した。『定期処方』では、看護師による配薬時の与薬忘れや患者間違いが多く、『移行・変化する薬剤の処方』では指示受け時と保管場所へのセット時にエラーが多かった。『持参薬』については、指示受け時とセット時にエラーが多く、『退院処方』では処方の渡し忘れと看護師が服薬指導を行う際にエラーが多かった。発熱時、疼痛時の『頓用指示』においては、指示の読み間違いエラーが多く発生していた。『麻薬処方』では配薬時にエラーが多く、これは麻薬が種類によって投薬日、投与時間のバリエーションが多いために混乱したり、与薬時間の情報収集不足等が要因として考えられた。『他科処方』では持参薬との重複や入院主科と他科処方の一部重複エラーが多かった。これらの分析結果を基に、エラーの少ない病棟の手順を調整しながら院内の標準化と与薬事故防止対策マニュアルを作成した。 2)服薬確認票の作成と導入  与薬事故原因は「確認が不十分」が76.2%と圧倒的に多く、確認ミスはヒューマンエラーに大きく関係していた。また、内服薬は点滴注射と違い、処方箋で確認しながらの配薬ではなく、多くの場合薬剤名を把握しないまま配薬していることや、看護師は特定の患者、薬剤以外は服薬確認を確実に行っていないことが事故の要因となっていることがわかったため、服薬確認を確実に行うためのツールとして「服薬確認票」を作成・導入した。最終段階で確認を確実に行うことにより、与薬忘れがあっても次の勤務者や患者・家族によって早く発見され、すぐに対処できるシステムに変更した。 まとめ  物事を変えること自体にもリスクは伴うが、「患者の安全を第一に考えた与薬業務」を所属長・リスクマネジャーに投げかけ、業務の見直し、標準化を図った。与薬エラーを0にすることは難しいが、エラー減少に向けて医師・薬剤師・看護師のコラボレーションを大切に、情報提供や問題提示をして行きたい。
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.56.0.17.0