Cine-MRIを用いた呼吸課題における安静及びストレッチポール上背臥位での比較

【背景・目的】腰痛症による疼痛の出現、程度には個人レベルの要因が関与するために問題点は多岐にわたる(三浦1999)。この問題の1つに体幹筋の筋活動異常があると言われ、体幹筋活動が低下している(Ahern DK1988)との報告がある。そのうち腹横筋は脊柱の安定化機能のみならず強制呼気といった呼吸機能においても重要な役割を担っている。そこで今回、臨床的効果を認めることの多いストレッチポール(SP)を用い、その上で呼吸課題を行ったときの腹横筋や横隔膜の活動をCine‐MRIで撮影した。本研究の目的は、呼吸課題中の腹横筋が床上背臥位(S)よりもSP上背臥位において賦活するか否かを検証することである。...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 29; p. 58
Main Authors 加藤木 丈英, 布施 憲子, 田中 優路, 齋藤 義雄, 園田 優, 小谷 俊明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2010
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.29.0.58.0

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Summary:【背景・目的】腰痛症による疼痛の出現、程度には個人レベルの要因が関与するために問題点は多岐にわたる(三浦1999)。この問題の1つに体幹筋の筋活動異常があると言われ、体幹筋活動が低下している(Ahern DK1988)との報告がある。そのうち腹横筋は脊柱の安定化機能のみならず強制呼気といった呼吸機能においても重要な役割を担っている。そこで今回、臨床的効果を認めることの多いストレッチポール(SP)を用い、その上で呼吸課題を行ったときの腹横筋や横隔膜の活動をCine‐MRIで撮影した。本研究の目的は、呼吸課題中の腹横筋が床上背臥位(S)よりもSP上背臥位において賦活するか否かを検証することである。【対象・方法】実験内容に同意を得た11名(男性6名、女性5名)を対象とした。MRI(GE社製)の中では、背臥位で約20秒かけ最大呼気運動(息を吐いた後に腹圧を高める)と背中にSPを挿入した状態で同運動を行い動画を撮像した。スライス面は第3腰椎下縁の水平面と右肺の正中を通る矢状面とした。その後、画像解析ソフトにて安静時と最大収縮時の腹腔面積の差をそれぞれ算出した。統計処理は、安静時と最大収縮時のSとSPの間で対応のあるt検定を行い、危険率5%未満を優位とした。【結果】安静時Sの腹腔面積の平均は121.63cm2 、SPは119.46cm2 でSPの方がわずかに低値を示し腹横筋が賦活する傾向が示唆されたが有意な差ではなかった。一方、最大呼気時Sの腹腔面積の平均は86.87cm2 、SPは82.5cm2 で、有意水準5%で有意差が認められた。また、矢状面像では、横隔膜の上昇後、腹圧を高めたときに腹横筋の活動が観察できた。【考察】結果より、SP上での最大呼気運動の有効性が示された。これは、SP上では体幹の回旋要素を伴うため、姿勢保持筋である腹横筋が主に関与し、腹圧を高め腹腔面積を小さくしたと考える。また、最大呼気運動の運動方法は、呼気の後に腹圧を高めることによって、より腹横筋を賦活し腹腔面積を縮小できることが示唆された。
ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.29.0.58.0