自発痛に対する広帯域多重複合波治療の即時鎮痛効果

【はじめに】  広帯域多重複合波(複合波)は高い鎮痛効果が期待され、当院でも積極的に処方されることが多い。これまで我々は、複合波が整形外科疾患群(整形群)および脊髄損傷群(脊損群)の自発痛に対して即時鎮痛効果が期待できることを報告したが、両群間での比較は未検証であった。 そこで対象数を増やし、整形群・脊損群における即時鎮痛効果について再検証するとともに両群間での治療効果について比較したので報告する。 【方法】  調査期間は平成16年~22年。対象は複合波治療を行っている患者で、研究に対し同意が得られた整形群12名、脊損群8名。治療条件は、モードがランダム波形A、ハンマー通電ON、治療時間は20...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 386
Main Authors 櫻田 圭介, 嶋田 誠司, 岸野 美代子, 佐藤 嘉寿, 佐藤 陽介, 筒井 聖也, 成田 修, 石川 周, 三浦 利哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE 2010
一般社団法人 日本農村医学会
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.59.0.386.0

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Summary:【はじめに】  広帯域多重複合波(複合波)は高い鎮痛効果が期待され、当院でも積極的に処方されることが多い。これまで我々は、複合波が整形外科疾患群(整形群)および脊髄損傷群(脊損群)の自発痛に対して即時鎮痛効果が期待できることを報告したが、両群間での比較は未検証であった。 そこで対象数を増やし、整形群・脊損群における即時鎮痛効果について再検証するとともに両群間での治療効果について比較したので報告する。 【方法】  調査期間は平成16年~22年。対象は複合波治療を行っている患者で、研究に対し同意が得られた整形群12名、脊損群8名。治療条件は、モードがランダム波形A、ハンマー通電ON、治療時間は20分、患者が特に痛みを訴える部位に照射した。痛みの評価はVASを用いた記述法と質問法とし、治療直前・直後の2回測定した。統計は有意水準を5%とし、直前・直後の比較はWilcoxonの符号付順位和検定、改善度(直前-直後の値)の比較はMann WhitneyのU検定を用いた。 【結果】  直前・直後の比較では整形群・脊損群ともに有意に低下し、両群の比較では整形群が有意に高かった。 【考察・まとめ】  整形群の痛みの要因は、侵害刺激が受容器を刺激し痛覚神経を上行し、脊髄以上の上位中枢で処理された情報が、血管収縮・筋攣縮による局所乏血を惹起すると同時に発痛物質を産出し、再び受容器を刺激するという悪循環メカニズムが考えられている。これに対し複合波は、1)即時効果が高いとされるウエデンスキー抑制が末梢の痛覚神経をブロック、2)中枢では内因性鎮痛が作用、3)血流改善による鎮痛効果が期待できる。 一方、脊損群は脊髄視床路の損傷や側芽の形成など痛みの原因が脊髄にあるため、ウエデンスキー抑制の効果が期待できず、中枢での内因性鎮痛作用等の効果のみに留まったことなどにより即時鎮痛効果が低くなったと考えられた。
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.59.0.386.0